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日本とロシアの関係は「呉越同舟」

藤 和彦 氏

冷戦終結に寄与した旧ソ連の天然ガス

 ここで、ロシアが欧州地域にとって天然ガスのグッド・サプライヤーになった経緯を振り返ってみよう。

 1970年代の冷戦期にさかのぼるが、当時の西欧地域は緊張緩和(デタント)の兆候が出ていたものの、相変わらず冷戦の状態が続いていた。このような状況下で西欧諸国では、1960年に結成されたOPECが世界の石油市場での存在感を強めていたため、石油への依存度を軽減する必要があるとの認識が高まった。

 エネルギー構造を変革する必要に迫られた西欧諸国は、北海での油・ガス田開発に力を入れていたが、1960年代後半から旧ソ連の西シベリア北部で次々と見つかっていた巨大ガス田群にも大きな関心を抱くようになった。

 当時の西ドイツでは、1969年10月に発足したヴィリー・ブラント首相率いる社会民主党(SPD)政権の掲げた「東方外交」のもと、旧ソ連・東ドイツなどの共産圏との関係改善が始まっていたが、同年11月30日に「補償協定」が結ばれ、20年間に1200億立方メートルの天然ガスをソ連が西ドイツに供給することが合意された。西ドイツが天然ガス開発に関する資機材を輸出し、その見返りにソ連から天然ガスを輸入するという内容である。西ドイツはNATO ― COCOM(対共産圏輸出統制委員会)構成国の中で初めてソ連から天然ガスを輸入する国となった。

 図はロシアから欧州に伸びる天然ガスパイプライン網を示しているが、西シベリアから約5000㎞離れた西ドイツに天然ガスを供給する世界最長のパイプラインの名称は「ドルジバ(友好を意味するロシア語)」だった。

図 ロシアから欧州へのガスパイプライン網

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