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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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強さとは信頼、「ゲーム道」究める

東大卒プロゲーマー、ときど氏に再び聞く

予防医学者 石川善樹氏

ときど よくわかります。僕も「ストファイ」に絞ってから、しょうもない試合をして、しょうもない負け方をする時期が続きました。練習に付き合ってくれる仲間からも「ふがいなさ過ぎる」と怒られました。あれだけ俺たちと練習して、あの負け方はないよね、と。

石川 なぜ勝てなかったのでしょう。

空手に学んだ相手を敬う心

ときど 自分の土俵でしか戦っていなかったからだと思います。相手の知らないキャラクターの技や特徴で押していく。最初のうちは勝つけれど、相手に攻略されたら終わり。いとも簡単に崩れるパターンを繰り返していたのです。ある大きな大会で負けたとき、ようやく「負けるのは仕方ないけど、悪い負け方をしちゃダメだな」と気づきました。

石川 悪い負け方とは?

ときど 周りの信頼を裏切るような、ひどい負け方です。それからは、周りに信頼されているかどうかが、僕の中での強さの基準になりました。つまり、先ほどの問いに答えるならば「強さとは信頼」だと思っています。

石川 ほおー、明快な答えが出ましたね。

ときど もともと、ゲームはキャラクターによって強弱がありますから、勝ち負けは強さの基準になりにくいのです。でも、僕は勝ち負けにこだわり続けて、本物の強さがわかっていませんでした。今は仲間ももちろんですが、対戦相手からも信頼されるプレーヤーが強いプレーヤーだと思います。

石川 今、格闘ゲームで世界のトッププレーヤーは誰か。海外選手のインタビューでも、ときどさんの名前が必ず出るようになりましたね。特に若い選手から信頼されているなと思います。前回の対談(チームメートのために働いていますか?)で、サッカーの岩政大樹選手も同じようなことを言っていました。誰のためにプレーするか。監督か、サポーターか、メディアか。自分は仲間のためにプレーする、と断言していました。

ときど その考え方にはすごく共鳴できます。ビジネスの世界でも、長く仕事をするなら、仲間との信頼関係はすごく重要ではないでしょうか。

石川 仲間からの信頼を得るために、何か気を付けていることはあるんですか。

ときど 試合や練習の前に瞑想するのも、その1つです。これは空手から学んだことです。練習の初めに必ず黙想して、絶対に自分がケガをしない、相手にもケガをさせないということを刷り込ませるのです。ところが、格闘ゲームは実際に自分の体が痛まないので、ひどいプレーをする人がいます。自分もかつてはそうでした。でもゲームだって、相手に対する敬意は必要なはずです。相手が不快に思うようなプレーはしないよう、お互いに心がけましょう、という意味でやっています。

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