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あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる

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「機会費用」を知れば彼女にフラれてもOK?

東京女子大学現代教養学部 教授 竹内健蔵 氏

電車賃だけでなくバイト代も機会費用に

 ここで先ほどの機会費用の定義を思い出そう。

 「機会費用とは、複数の選択肢があるとき、ある選択肢を採用したことによって犠牲にされた選択肢を選んでいたならば得られたであろう価値のことである」

 彼女は家庭教師のバイトを休んでデートに出かけた。つまり犠牲にされたのは家庭教師のアルバイト代5000円であり、つまり、「犠牲にされた選択肢を選んでいたならば得られたであろう価値」とは5000円のことである。

 そして、往復の電車賃1000円もおなじく犠牲にされた価値であり、そのためこれも機会費用に含まれることに注意しよう。彼女は新宿往復の電車賃を支払わなかったら、この1000円でおいしい食事ができたかもしれないし、それを何か他の楽しみに使えたかもしれない。

 しかし、彼女はそれよりも彼とのデートでこの1000円を使う方が価値が高いと思ったからこそ、それを電車賃として使ったのである。つまり、電車賃として使ったために犠牲にされた価値がこの1000円にはある。したがって、ここでは合計額の6000円が機会費用となる。

 5000円の家庭教師のバイト代は、彼女のお小遣い帳には決して書き込まれない金額である。実際、この5000円は彼女のお財布から出ていってはいない。しかし、これもまた立派な費用であることに間違いはない。

竹内 健蔵 著 『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる』(日本経済新聞出版社、2017年)「はじめに」「第1章 お金だけが費用ですか?」から

竹内健蔵(たけうちけんぞう)

東京女子大学現代教養学部教授。1958年生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得。オックスフォード大学経済学部大学院修了。博士(商学、一橋大学)。長岡技術科学大学工学部助教授等を経て現職。専門は交通経済学、公共経済学。著書に、『なぜタクシーは動かなくてもメーターが上がるのか』『交通経済学入門』『都市交通ネットワークの経済分析』。

あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる

著者:竹内 健蔵
出版:日本経済新聞出版社
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