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肖敏捷の忠言逆耳

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今年も「権威人士」は登場するのか?

SMBC日興証券 中国担当シニアエコノミスト 肖 敏捷(しょう びんしょう) 氏

実名で登場し、経済政策についての議論の透明化を

 だとすると、今年はもう「権威人士」が登場する必要はないだろうか。今年の1~3月期実質GDP成長率が前年比6.9%成長したことを受け、公の場で例の張高麗副首相も国家統計局も引き続き「開門紅」という表現を使っていたが、「権威人士」からの反論を招く可能性はなさそうだ。

 国家統計局のホームページに掲載された「郭同欣」の文章の中では、1~3月期の景気が想定より良かったのは、「習近平国家主席を核心とする共産党指導部の指導の結果」と絶賛している。これに対して、「権威人士」が異論を唱えたら、それこそ政治問題に飛び火しかねない。今秋の共産党第19回全国代表大会(19大)開催に向けて、安定維持を最優先する共産党指導部にとっては、余計な混乱を招くのはご法度だ。

 しかし、「権威人士」であろうが、「郭同欣」であろうが、今後、できれば実名で登場願う。もっと贅沢を言えば、経済政策に関する議論の透明化を望む。そうすれば、政策の実効性も高まり、中国経済に対するグローバルの不安もある程度払拭されるだろう。

 ヒト・モノ・カネなどの資源配分について、習近平政権は「市場に決定的な影響力を与える」といった改革の方向性を打ち出しているが、どうやって実現するのか、堂々と議論を交わすことを期待してやまない。

肖 敏捷(しょう びんしょう)

1964年中国西安市生まれ。1994年から2010年まで、大和総研の本社及び香港や上海拠点で中国経済の分析を担当。2010年の日経ヴェリタスエコノミストランキングでは、中国経済専門のエコノミストとしては異例の5位にランクイン。独立系運用会社を経て、2013年7月、SMBC日興証券に入社し、現在に至る。著書に「人気中国人エコノミストによる中国経済事情」(日本経済新聞出版社)など。

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