日本経済新聞 関連サイト

先読み&深読み 経済トレンドウォッチ

記事一覧

仏大統領選を契機に再浮上する日米株価の上値期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

日経平均株価の上値期待も強まる

 日本の株価についても上値期待は強まっている。前述のように5月8日、日経平均株価は一時1万9900円台に乗せ、なんと2015年12月3日以来、1年5カ月ぶりの高値をつけた。以前から、本欄では「1万9500~1万9600円処に少々厚めの上値の壁があり、同水準をクリアに上抜ければ、そこから一段の上値余地が拡がりやすい」などと述べてきたが、ここでようやく期待していた展開を目の当たりにすることとなった。

 前回でも述べたように、日経平均株価は2016年12月初旬辺りから2017年4月初旬辺りまで1万8700~1万9600円の価格レンジで推移していた。4月半ば以降は、仏大統領選や北朝鮮リスクなどへの過度な警戒という特殊要因によって一時1万8000円台前半まで下押す場面もあったが、4月下旬以降は急ピッチで持ち直し、本記事執筆時では前記のレンジ上辺=1万9600円前後の水準を明確に上抜けるに至っている。

 この場合、当座の上値の目安はレンジの値幅(約900円)と同じ値幅をレンジ上辺から上方にとった水準で2万500円辺りになるが、それ以上も期待できそうだ。いよいよ発表が本格化してくる上場企業の2017年3月期決算の内容は「2年ぶりに最高を更新した」と見られており、そうであれば2015年6月の高値である2万952円を上回る水準を試す展開となってもおかしくないだろう。加えて2016年の円高局面を耐え抜いて「稼ぐ力」を強めている国内上場企業は、次の2018年3月期も増益基調を維持すると見る向きは多い。

 米ゴールドマン・サックスによれば、2017年3月期の日本企業の予想増益率は12.5%で、この数値を基に試算した日経平均株価構成企業の1株利益(平均)は1350円程度。さらに、2018年3月期の増益率が仮に+10%であったとすれば、はじき出される1株利益(平均)=1485円に、金融危機以降の平均PER(株価収益率=約15倍)をかけた水準、すなわち2万2000円超が日経平均株価の適正株価(フェアバリュー)になる。

今後もドル(対円)は底堅く推移する見通し

 もちろん、いかに日本企業の「円高耐性」が強まっているとはいえ、あまりに過度な円高に振れた場合は、市場心理に影響して株価の上値が押さえられがちとなる可能性はある。そこで、足下における対円でのドルの値動きについてもあらためて考察すると、ドルは対円で当面底堅く推移しやすいといえる。

 前述したとおり、その根拠の一つはFRBやECBと日銀の金融政策の方向性が大きく異なってきていることで、他の特別な要因の介在さえなければ、自ずと円は独歩安になりやすい。もちろん、米政権による円安批判のプレッシャーがある限り、当面は極端な円安に振れないだろうが、円高がただただ一辺倒に進むことも考えにくい。

PICKUP[PR]