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仏大統領選を契機に再浮上する日米株価の上値期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 実際にECBが米連邦準備理事会(FRB)に追随して金融政策の見直しを始めるとなれば、いまだ「異次元緩和」の継続を余儀なくされている日銀の政策との方向性の違いから、円が独歩安の様相を呈する可能性も大いにある。少なくとも、このところ対円でユーロが大きく買い戻されていること自体が、対円でのドル上昇の一因となっていることは確かである。

米株価の上値期待は今しばらく引き継がれる

 米株価については上値期待が今しばらく引き継がれると思われる。米国経済については、米商務省が4月29日に発表した1~3月期の実質GDPが年率換算で前期比+0.7%の成長に留まったことや、その一因に米国での新車販売が3カ月連続で前年割れとなったことが挙げられる点などを危惧する向きがある。

 ただ、5月初旬に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文では「1~3月期の成長減速は一過性のもの」と言及された。実際、その後に発表された4月の米雇用統計では非農業部門雇用数の伸びが前月比+20万人超となり、失業率が4.4%にまで低下するなど、依然として米雇用情勢が力強く推移していることが示されている。4月は平均時給の伸びが前年同月比+2.5%に鈍化したが、プラス圏での推移が継続していることは間違いなく、今後も期待感を持って経緯を見守りたい。

 加えて、米主要企業の業績がなおも好調に推移している点は何より見逃せない。本記事執筆時点ではS&P500株価指数に採用されている企業の約80%が1~3月期の決算発表を終えており、その約75%の業績が事前の予想を上回るなど、全体に良好な内容となっている。実際、S&P500株価指数は足下で史上最高値を更新する展開となっており、ハイテク株が多いナスダック総合指数も史上最高値圏にある。

 そうした動きを受けて市場関係者も強気だ。例年、日本が大型連休を迎えるこの時期は「セル・イン・メイ(5月に売れ)」という古くからの格言が米ウォール街でささやかれ始めるのだが、今年は少々勝手が違う。市場関係者のなかには、むしろ「バイ・イン・メイ」なのではないかとささやく向きもあり、この点でも今しばらく米株価の上値期待は引き継がれる可能性が高いと見られる。

 仮に米株価が5月、6月辺りで一つのピークを迎え調整含みの展開になったとしても、今秋以降は大型減税や大規模インフラ投資への期待が再び盛り上がる可能性もある。先に米政権は、税制改革案の骨子を明らかにし、インフラ投資については1兆ドル超とする方針を掲げた。今後、米議会における協議は相当に難航しそうであるが、はなから過度に悲観視することは差し控えたい。

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