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仏大統領選を契機に再浮上する日米株価の上値期待

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 4月23日に行われた仏大統領選の第1回投票で、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン氏と極右国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が5月7日の決選投票に進むことが決まったことを一つの契機にそれまで世界の金融市場を覆っていたリスク警戒の暗雲が徐々に薄らぎ始めている(併せて急進左派のジャンリュック・メランション氏は敗れた)。極度に高まっていた北朝鮮リスクに対する警戒が少しずつ解けたこともあり、結果的に4月24日以降、日米株価や対円でのドルは急ピッチで戻り歩調をたどっている。

 また、4月19日に一時2万400ドル割れの水準まで下押したNYダウ(ダウ工業株30種平均)は、日本の大型連休に相前後して2万1000ドル台を回復。4月17日に1ドル=108円台前半の水準にまで対円で下落したドルは113円台を回復するまで戻り、同日に1万8200円台の安値をつけた日経平均株価は大型連休明け後の5月8日に1万9900円台を回復して、2万円の大台まであと一歩という非常に強い展開になっている。

 前回更新分『米の政策実行力に不信も実体経済は強い』では、当座の上値の目安を、日経平均株価=2万500円、1ドル=113円台前半としていたが、ドルはその水準に到達し、日経平均株価もそろそろ到達しそうなムードになっている。仮に、このまま日経平均株価が2万円台を回復し、対円でドルが113円台にしっかり乗せた場合、その後はどんな展開が待ち受けているのだろうか。主要な材料を基に、当面の相場の行方についてあらためて考察したい。

足下は「円独歩安」の展開

 まず円相場の行方について考察しよう。5月7日の仏大統領選・決選投票において勝利したマクロン氏は、かねて「親EU」の立場を明らかにしており、同氏の当選でひとまず欧州連合(EU)崩壊の危機は遠のいたといえる。そればかりか、マクロン氏の勝利は、9月に控えるドイツ議会選や前倒しがささやかれるイタリアの総選挙において無用な波風が立つ可能性をも低下させると期待される。もちろん、マクロン氏が得意の経済分野でその手腕を大いに発揮するという期待もあり、決選投票前から市場では円やドルに対してユーロが強く買い戻される動きが見られていた。

 「フランスの政局が落ち着けば、欧州中央銀行(ECB)が近く行動を起こそうとする」との読みも市場にはある。EU統計局が発表した1~3月期のユーロ圏の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比+1.8%となり、これでユーロ圏の成長率は16四半期連続でのプラスを維持することとなる。域内の消費者心理や物価の基調も強めの傾向を示し始めており、市場では「近いうちにECBが現行の超緩和的な政策からの『出口』を模索する協議を始める」との見方が強まっている。

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