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IoTの勘所

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IoTへの取り組みを成功に導く3つのカギ

東京大学大学院工学系研究科 教授 森川博之氏

 IoT(Internet of Things)に何からどう手をつけるか。有識者やIoTを業務効率化や新ビジネスで実際に活用するキーパーソンに、IoTの捉え方、接し方、そして有効な活用の仕方について尋ねていく本連載の第2回では第1回に続いて東京大学大学院工学系研究科 教授の森川博之氏に、IoTへの取り組み方について語ってもらった。第1回で森川氏は、企業がIoTに取り組む際は「アナログプロセスのデジタル化による生産性向上と価値創出」を目的とし、「失敗を前提としたスモールスタートでスピーディー」な実行が必要だと話したが、そうしたIoTへの取り組みを成功させるには「事業体制」「競争相手」「人材」の3つがカギを握ると指摘する。

維持・拡大と投資の二刀流経営を進める

<b></b>森川博之氏(もりかわ ひろゆき)</b><br>東京大学大学院工学系研究科 教授

森川博之氏(もりかわ ひろゆき)
東京大学大学院工学系研究科 教授

 まず「事業体制」について森川氏は「社内のビジネスユニットを大きく2つに分けてIoTに取り組むとよいと話しています」と切り出した。具体的には、金融業界でよく使われる「RTB」と「CTB」に分けてそれぞれ組織や予算を作成し、異なる基準で評価すべきという。ここでRTBはビジネスを維持・拡大する活動で、「Run the Business」または「Run the Bank」を、CTB はビジネスを変革する活動で「Change the Business」または「Change the Bank」をそれぞれ指す。

 「RTB側のビジネスユニットは企業の屋台骨を支えており、収益の維持・拡大を追求しているため、失敗が許されず、スモールスタートが基本のIoTのビジネスへ本格的に取り組むことができません。RTB側とは別に組織したCTB側のビジネスユニットに、チャレンジさせることが必要です。つまり、既存ビジネスの維持・拡大とIoTのビジネスに対する投資という二刀流経営が求められます」

 IoTのビジネスにチャレンジするCTB側のビジネスユニットについては評価基準も変える必要がある。CTB側のビジネスユニットは多数の新ビジネスへスピーディーに取り組み、山のような失敗の中から成功の芽を見つけることを評価すべきであり、RTB側のビジネスユニットのようにビジネスの収益性やコスト効率を評価すべきではない。また、CTB側のビジネスユニットには、IoTに関する新ビジネスのネタを見つけることに優れた人材が必要である。そうした人材はRTB側のビジネスユニットの人材と資質が異なることも事業体制を分ける理由だ。

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