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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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情熱ある人同士が化学反応を起こす触媒に

第4回 春田真・エクサインテリジェンス代表取締役会長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

誠意の積み重ねが信頼に

長島 私も2000年ごろ、コンサルタントとしてトヨタグループの方々とお付き合いさせていただくようになって、プロトコルから何から一から教わりました。これがなかったら、今のように製造業に関して詳しくなってないですね。今でも忘れられないのは、夜の懇親会のお店で、入るときも帰るときも我々の靴をそろえていただいていたことです。「これはまずい」と思い、次からは先を越されないようにしました。ちょっとしたことですが、こういう誠意の積み重ねが信頼につながるのだと思います。

春田 昔に比べて大手企業の人たちもベンチャー企業に対してオープンマインドに変わってきているとは思います。それでも若い人たちにとっては敷居が高い。ただ、AIやディープラーニング(深層学習)の領域は歴史が浅く、大手とベンチャーで技術レベルにそれほど大きな差はないでしょう。ベンチャー側が変に下手に出たり、技術を安売りしたりする必要はないと思います。

長島 大企業とベンチャーが共同事業をするとき、よく問題になるのが、お金の支払いです。ベンチャーの知見を引き出しておいて、お金を払わないケースもあると聞きます。

春田 確かにそうですね。大手は契約が固まる前にいろいろと質問したがり、学生はよく知らないまま答えてしまうことはあるでしょう。そういうときに僕とか、粟生さんとか防御できる人がいることは大事ですね。それと、成果物についても大企業は囲い込みたがります。何に使うのかと聞くと、「いや、とりあえず持っておく」という(笑)。この辺りの姿勢も変わってくれると、ベンチャーはやりやすいと思います。

長島 確かにそうですね。話は少し戻りますが、春田さんの人脈はすごいと思うんですよ。どうやって広げているのですか。

春田 特別なことはしていません。いい人とお付き合いするから、いい人を紹介していただけるのかと思いますが。ただ、社会人の場合、出会いのきっかけはビジネスであり、それが続くかどうかも、ビジネスが前提だと思います。僕はこれがしたい、こういうことができませんか、というようにはっきり目的を持って人と会いますね。よく、「何かあったら声かけてください」という人がいますが、僕はほとんど言いません。それだと大抵、関係が切れてしまうから。

長島 私たちもここ数年、いろんな会社と協業の話があり、トップ同士で話をすることがありましたが、最初のうちは立ち消えになることがほとんどでした。具体的にやることがないまま、とりあえず会いましょうという感じだったんですね。

春田 僕の場合、仕事につながらないところには最初から行かない(笑)。冷たいかもしれませんけど。

長島 私もそれが正しいということに気がついたんです。いかに不毛だったか(笑)。それで、協業するのは生産性を上げるためだという原点に立ち返って、相手に何を求めるかを明確にしたら、話がすぐに通じるようになりました。

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