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地域を元気にする中小企業

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地域を元気にする4つのキーワード

日本政策金融公庫総合研究所 主席研究員 村上 義昭氏

 本連載では、地域活性化に取り組む6地域の事例を紹介しました。特産品の開発(北海道中札内村)、コミュニティカフェやソーシャルビジネス(愛媛県上島町)、軽トラック市(岩手県雫石町)、ビジネスプランコンテスト(島根県江津市)、地場産業の振興(愛媛県四国中央市)、人材の育成(広島県安芸高田市)など、地域ごとに異なる取り組みです。しかし、これらの事例には共通する成功要因があります。連載の最後に、地域を元気にするための4つのキーワードを見ていきましょう。

第1のキーワード:助走期間

 地域経済に多少なりともインパクトを及ぼす取り組みは、一朝一夕にできるわけではありません。「助走期間」が必要になります。その理由は3つ指摘できます。

 第1は、活動に対して地域のコンセンサスを獲得する必要があるからです。

愛媛大学が入居する県の施設(中央の建物) 愛媛大学が入居する県の施設(中央の建物)

 紙関連製品の一大産地である愛媛県四国中央市では、2010年に愛媛大学大学院の紙産業特別コース(現・生物環境学専攻バイオマスコース)を誘致し、産学連携体制を構築しています。その契機は、2006年に市と大学とが連携協定を締結し、大学のサテライトオフィスが設けられたことにまでさかのぼります。

 当初は、地元企業から研究協力の依頼がまったくなく、連携は不調でした。事態を打開するため、大学側から市の主要な企業経営者との意見交換会を開催したいと申し入れがありました。このとき、経営者や技術者、商工会議所や市役所の職員などをメンバーとする懇談会がすでにあったことが役立ちました。大学と本音ベースで意見交換し、それを機に全市をあげて大学院の誘致に取り組もうというコンセンサスができました。

 第2の理由は、取り組みのリーダーとなる人がリーダーシップや人的ネットワークなどを獲得する必要があるからです。それにはある程度時間がかかります。

 愛媛県上島町で、株式会社しまの会社やNPO法人弓削の荘などの代表者として活躍する村上律子さんの原点は、1993年に結成された「ゆげ女性塾」にあります。女性塾は男女共同参画型社会の確立を目指す施策に関連して、島の各地区から選ばれた女性をメンバーとするグループです。旧弓削町役場に勤務していた村上さんがリーダーを任され、『弓削民俗誌』(1998年)の編纂をはじめ、さまざまな活動に取り組みました。

 この女性塾の活動を機に、リーダーとしての村上さんに対する信頼が高まりました。このときの活動があったからこそ、2008年に村上さんが中心となって「しまの会社」を設立する際、島民約60人から出資を受け、多くの仲間からコミュニティカフェの運営などの活動に協力を得ることができました。また、女性塾で獲得した内外の人的ネットワークもその後の活動に生かされています。

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