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プーチン大統領は対中偏重を見直すのか?

藤 和彦 氏

天然ガスの分野で中国のプレゼンスが急浮上

 天然ガスの分野でこれまでのところ中国のプレゼンスはないに等しかったが、2014年5月にプーチン大統領が訪中した際にロシアから中国への天然ガスパイプライン建設が合意されたことで事態は大きく変わった。パイプラインが完成すれば、中国はドイツを抜いてロシア産天然ガスの大輸入国となるからだ。

 しかし原油価格の下落でロシアから欧州に輸出されている天然ガス価格が下落している状況下で、タフな交渉相手である中国が原油価格急落以前の段階で決まったとされる価格で天然ガスを購入するとは思えない。

 ロシアから中国に敷設されるパイプラインは「シベリアの力」と呼ばれているが、「東ルート(サハリン~ウラジオストク経由、年間380億立方メートル)」と「西ルート(西シベリア経由、年間300億立方メートル)」がある。

 2016年7月、ロシアの国営エネルギー会社ガスプロムと中国石油天然気集団(CNPC)の間で西ルートの建設に関する契約の調印が無期延期となった。中国経済の急減速で天然ガス需要が低下したため、中国側は大幅な価格引き下げを求めていることがその要因であるとの見方が強い。

 東ルートについては2019年の完成に向けて着々と工事が進められているとされているが、ガスプロムは2016年2月、パイプライン建設費を前年の半分に削減した(約1380億円)。ガスプロムはその理由を明らかにしていないが、「ロシア側は供給開始後に中国が理不尽な値下げ交渉をしてくるのではないかと恐れている」との観測がある。

 安全保障面でもロシアの中国に対する認識は、深刻な脅威とはいかなくてもその将来に不安を抱いていると言われている。

 2008年の国境画定で中ロ間には領土問題は解決済みとの見方が強いが、2003年以来中国の教科書では沿海州とサハリン州は中国領となっている。1860年の北京条約でロシアに強奪されたまま返還されていないという認識だからだ。

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