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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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チームメートのために働いてますか?

サッカー選手の岩政大樹氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

岩政 はい。プレーオフに進出してあと1勝のところまで行きました。結局、J1には上がれませんでしたが、それよりも将来のチームのために大切なことを伝えられたのではないかと思っています。

石川 転職というと、以前の会社でのポジションを振りかざす人が多いですが、岩政さんはゼロから相手にぶつかっていくタイプですよね。でもそれって面倒じゃないですか。

相手のことを考えていれば必ず通じる

岩政 その方が相手に深く入り込めるんです。最初はうるさいなあとか、暑苦しいなあとか思われるんですが(笑)、最後は感謝される。それが僕のやり方なんだなと最近わかってきました。相手のことを考えて接していれば必ず通じる、それって一番豊かなことじゃないかなと思いますね。

石川 今もまた、新しいことに挑戦していますよね。東京ユナイテッドFCというチームは全員が社会人チームだそうですね。

岩政 はい、プロは僕だけです。練習は平日の夜と土日ですが、ほとんど集まらない。それでもどうやって勝たせるか。「お前らプロだろ」とは言えないし(笑)。鹿島やタイ、岡山での経験が全く通じない初めての経験です。

石川 そのチームの人もビックリですよね。例えて言うと、ノーベル賞学者が高校の理科クラブに来たような(笑)。

岩政 小さな島の出身で、もともとは新しいことや誰かに会うことは怖かったし、面倒でした。でも結局、大切なことはどこへ行っても変わらないんですね。将来のことは見えないけれど、自分の仕事に対する姿勢を維持して、与えられたものに取り組んでいけば、何かにつながっていく。そういう確信があります。

石川 やっぱり、違う世界にどれだけ飛び込んでいったかが、自信につながるんですね。

岩政 つながるのを楽しみにしている面もあります。選手のほか、今年からはコーチングも始めました。しゃべる仕事や執筆、解説なども広げていきたい。どのレベルで仕事に取り組んでいるかだけ気を付けて、できるだけ新しい経験を選んでいけば、自分にふさわしいものが必ずついてくると思っています。

石川 ゆくゆくは監督のオファーもありそうですが。

岩政 選択肢の1つではあります。でも今は監督だけをずっとやっていこうとは思っていません。あえて言えば、監督は僕じゃなくてもできることです。僕はやはり、僕にしかできない道を歩いて行きたい。ただ、日本のサッカー界を大きくするために何かやれればとは思っています。つまり日本サッカーの未来につながるような仕事です。そのためにいろんな経験をしておきたい。僕は変に哲学的なことを考えるのが好きで、長い歴史を考えたとき、僕の狭い時間の中だけでセコセコ生きてるのはダサいなと思っているんです。

石川 ビジネスの世界もプロ化して、個の重要性ばかり指摘されますが、やはり最後はどれだけ仲間を助けられるかどうかが、プロの条件かもしれませんね。今日はどうもありがとうございました。

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