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石油について時代錯誤の論説に惑わされるな

藤 和彦 氏

 サハリンの天然ガスは、1980年代に日本とロシアの共同事業によって発見され、エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルといった巨大石油会社が事業に参加してきた。天然ガスの現在の可採埋蔵量は約2.4兆立方メートルであり、日本全体の天然ガス消費量の約20年分に相当する。

世界最大の天然ガス輸入国である日本の課題

 サハリン2鉱区からすでにLNGという形で日本をはじめとする中国・韓国などにも供給されている。しかしサハリン1鉱区では、2000年前後からエクソンモービルが北海道を経由して首都圏にパイプラインで生ガスを供給するという構想が実現しなかったため、ほとんどのガス資源が手つかずのままである。日本初の国際パイプライン構想が順調にいっていれば2011年頃には供給開始という段取りになっていたと思うと残念でならない。

サハリンの天然ガス開発

 現在、日本のロシアからのガス輸入は年間のLNG輸入総量の10%程度を占めるが、パイプラインが開通すればロシアからの輸入量はシェアでトップになる可能性が高い。

 国際的には、天然ガス輸出の9割以上がパイプラインによる輸送である。日本に次ぎ世界第2位の天然ガス輸入国であるドイツ(1040億立方メートル、2015年)は、全量をパイプラインにより調達している。輸入元の第1位はロシア(452億立方メートル、43.5%)である。

 世界最大の天然ガス輸入国である日本(1180億立方メートル、2015年)は、全量をLNGで調達している。輸入元の第1位は豪州(257億立方メートル、21.8%)であり、ロシアは第4位である(105億立方メートル、8.9%)。

 液化・海上輸送・気化に多額の費用を要するLNGは長距離の輸送に利用されているものの、パイプラインによる生ガス輸送に比べるとコストが高い。日本から近距離にあるサハリンの天然ガス輸入は、国際的な常識からすればパイプラインが適している。

 国内に幹線パイプラインが敷設されれば、将来東シベリア地域(コビクタ・ガス田やチャヤンダ・ガス田)から天然ガスを輸入することが可能となり、天然ガスを日本全国どこの地域でも安価に供給できる体制が整備できる。

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