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石油を読む

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石油について時代錯誤の論説に惑わされるな

藤 和彦 氏

 『石油を読む』を10年ぶりに改訂することになった。その間の最も大きな変化は、シェール革命により米国がロシアとサウジアラビアに並ぶ「大産油国」に復活したことである。

原油価格乱高下のこの10年

 2007年初めに1バレル=70ドル前後だった原油価格(米WTI原油先物価格)は、2008年7月に付けた147ドルをピークにその後リーマン・ショックで急落、2009年3月に33ドルの安値となった。OPECの減産で回復し始めた原油価格は、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする世界の中央銀行の「量的緩和」政策の影響により、2011年初頭に再び1バレル=100ドルを突破し、2014年半ばまで「高油価時代」が続いた。

 2014年半ばに「米FRBが量的緩和の縮小を始める」と市場関係者が判断すると同時に原油価格が下落し始め、11月のOPEC総会が減産を見送ると下落幅が拡大、2015年1月に50ドル割れとなった。原油価格は再び上昇に転じ、6月に原油価格は60ドル近辺に達したが、再び下落傾向が強まり、2016年2月に26ドルの安値を付けた。

 この事態に慌てたOPECをはじめとする世界の産油国は減産に関する合意形成を開始したことから、原油価格は年末まで40~50ドル台で推移した(2016年11月末のOPEC総会で日量約120万バレルの減産合意がなされ、12月10日のOPECと非OPEC産油国の会合で非OPEC産油国も合計日量約56万バレルの減産で同意した)。

 直近10年間の原油価格はまさに乱高下であった。原油価格の水準は2007年から2014年までの8年間の平均は1バレル=90ドルであったが、2015年からの2年間の平均は45ドルである(図表参照)。

原油価格の推移(2006~16 年)

 リーマン・ショック後の原油価格の上昇に限ってみれば、その恩恵に最も浴したのはシェールオイルである。2009年に日量50万バレル程度だったシェールオイルの生産量は急上昇し、2015年3月に約550万バレルとなったが、原油価格の下落により2016年末には約450万バレルに減少している。シェールオイルを生産している企業は生産性の向上により低油価での安定経営が可能になったとの指摘があるが、5年間以上にわたり累積した膨大な債務によって原油価格次第では今後さらに多数の企業が破綻する可能性がある。

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