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この時代を乗り切るワークスタイル改革

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シニアの活躍なしに企業の成長はあり得ない

自分楽 代表取締役 崎山みゆき 氏

 今は「どれだけ長時間働いたか」ではなく、「決められた時間内にどれだけのパフォーマンスを発揮したか」が問われています。ダイバーシティーマネジメントの考え方は、多様な人材が持つスキルを最大限に発揮できるよう、会社の環境を整えることです。ですから、今までの就業規則や慣習をシニアにも当てはめるのではなく、新しい就業規則をつくるきっかけにするのです。

 そのためにするべきことは、自社業務の棚卸しです。シニア世代に「向いている仕事」「向いていない仕事」を産業ジェロントロジーという観点から洗い出し、適材適所の職場づくりをすることです。そうすれば、シニアのみならず、全世代の作業効率は下がらす、企業全体としてもメリットになるはずです。

既存の就業規則は盲点だらけ

―― 新しい就業規則を作るには時間も労力も必要です。企業にとっては負担になるのではないでしょうか。

 負担であるがゆえに、前例踏襲や先に着手した関連会社のものに「右にらなえ」となっているケースが多くみられます。しかし、当のシニアにとっては死活問題であり、見直すべき部分は早急な改善が必要です。

―― 死活問題ですか?

 60歳以降でも正社員待遇で雇用する企業はありますが、定年後の継続雇用は、パートタイムだったり、時短労働だったりしてお給料は下がります。そうなると生活ができなくなるシニアもいます。

 企業によっては複数の企業で働く、いわゆるダブルワークを禁止している企業もあります。「アルバイト社員でも、他の企業で働いてはいけない」というんですね。大手企業や歴史がある企業ほど、こうした"足かせ"をかける傾向があります。しかし、正社員と同じ給料は支払えない。これでは、シニアの生活は成り立ちません。

 労働者の生活を維持できる給料を企業が支払えないのであれば、そうした"足かせ"を外し、柔軟性のある就業規則をつくるべきです。シニアは、長時間労働は体力的に無理ですが、短時間であれば高いパフォーマンスを維持できる。将来的に年金の支給開始時期が後倒しになることを考えれば、柔軟性のある雇用形態の確立が不可欠です。

―― 厚生労働省や中小企業庁は「働き方改革」の一環として、就業規則の見直し案を提示しています。

 高年齢者雇用安定法が施行されてから約4年が経ちました。行政は(高齢者を雇用するための)就業規則の見直しが99%完了したと言っています。しかし、私はこの数字に懐疑的です。

 本来、就業規則は、企業の特性で異なるはずです。例えば若者を対象にしたモバイルアプリを開発する企業は、従業員の平均年齢も若く、フレキシブルな働き方を取り入れています。創造性を大切にする職種では、働き方も個人の裁量に任されている部分が大きいですよね。一方、決められた時間に一定の作業をこなすような業種では、明文化された就業規則を守らなければいけません。

 しかし、行政が中心になって進めている就業規則の見直しは、企業の特性を考慮しない、画一的な内容がほとんどです。国が残業時間の上限を決めたからといって、すべての労働者が幸せな働き方になるわけではありません。率先して、自社にあった就業規則をつくれない会社は生き残れません。

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