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デジタル変革マーケティング

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なぜ今、ダッシュボードが必要なのか

横山隆治氏 内田康雄氏

 もうひとつ重要な外部環境の変化として、人間の意識レベルで認知できる情報量や可処分時間が変わらない中でタッチポイントや流通情報量が増えていくと、接触メディアのフラグメンテーション(分断化・断片化)が起こります。

「情報の届け方」に必要なテクニック

 実際、新聞や雑誌、折り込みチラシ等の紙メディアの衰退もあり、今やTVがほぼ唯一のプッシュ力のあるマスメディアになってきています。このように、「情報武装」を始めた消費者にしっかりと情報を届けないといけないにも関わらず、届けたい情報がなかなか届かない状況となっており、それゆえ「情報の届け方」にテクニックが必要になってくるのです。

 では、企業はそうした複雑化する環境にどう対応していくべきか。具体的には、本稿で扱う「高速PDCA」や、メディア横断の最適化・効率化といった方策があります。しかし、そうした消費者とのよりよいコミュニケーションを考える前に、まずは自らを変える部分がどこにあるかを認識しなければなりません。

 インターネットの台頭によりマーケティング結果の数値化と透明化が求められるようになった今、多くの企業にとって最大のマーケティング課題は、オンラインとオフラインなどと領域で分けないで、顧客導線や顧客像の全体をどうシームレスに掴み、施策を繋いでいくか、ということです。

 そのためにも、こうした外部環境の激変に伴って起こる内向きの問題点を把握し、切り出して、そこに構造的な変革を仕掛けることがダッシュボードを導入するうえで大きな意義を持ちます。

 そうした外的刺激に伴って対応すべき構造的な問題の1つは、データのフラグメンテーション(細分化)とそれに伴う管理に関する問題です。消費者の接触メディアと情報接触行動が多様化し、それに伴って供給されるマーケティングデータが増えることで、企業が管理すべきデータは複雑になっていきます。

 たとえば、かつてはマーケティングデータというと、販売実績のほか、Webサイトやインターネット広告など、自社のネット領域での活動を最適化するデータ程度でしかありませんでした。しかし、SNSの普及が加速したことで、今度はユーザー側から自然発生するソーシャルメディア上での口コミデータの解析も重要になりました。

 昨今の先進的な企業は、企業が自社で保有するデータ(1stパーティデータ)それだけでは成果を生みにくいと考えるようになり、こうした自社以外の外部企業が進めている3rdパーティデータと呼ばれるデータ群──ソーシャルメディアデータ以外にも、ジオデータ、購買データ、TV視聴データなどの集積データなど──や、2ndパーティデータと呼ばれる、特定企業との間で共有したデータを統合管理するようになってきています。

 さらに最近では、これまで効果を測定することが困難だったテレビ端末や、自動車の走行履歴をはじめとしたサービスの利用機器の情報も、IoTのセンサーデータとして常時取得できるようになってきました。そのことで、ネットからマス、リアル領域まで様々なチャネルの実態把握のデータが、パッシブデータ(自動的に集まってくるデータ)であり、かつ全数に近いデジタルデータとして集まってくるようになってきています。

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