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デジタル変革マーケティング

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なぜ今、ダッシュボードが必要なのか

横山隆治氏 内田康雄氏

 一方、通信だけでなく放送に関しても、全チャンネルを同時に録画する「全録」可能なTV録画機の普及とともに、TVCM素材のオンライン送稿やネット環境へのコンテンツ配信などが進んでいくことで、インターネット領域でできていたようなオンラインでのTVCM枠の入札や、1本1本のポジションごとに適切な素材を入れるような機動的な広告掲載や評価方法などが移出されて、TVの価値が再定義されるようになるのかもしれません。

 このように、多領域で同時多発的に起こる社会の急速なデジタル化が、企業のマーケティングやコミュニケーション活動を大きく変えることだけはたしかでしょう。それまでにスピード感を持った対応が可能になるかは、今このとき、企業内の人材、組織、考え方、あらゆる面をデジタルに切り替える地ならしができるかどうかにかかっています。

情報武装する消費者とフラグメンテーション(分断化)

・気になる商品をインターネットで検索して評判を調べる。
・売っている店舗に行って、商品の現物を見て、インターネットで同じものを買う。
・買ったものを使う様子を撮った動画や写真をコメント付きでSNSに投稿する。
・使った商品をフリーマーケットアプリに出品して、他人に譲る。

 情報に取り囲まれたこうした生活は、すでにデジタル端末を使いこなす世代にとっては日常的な光景です。

 このように消費者を取り巻く情報の量が肥大化して、消費者が「賢く」なり、デジタルメディアを通して自ら外に向かって「モノ言う」消費者に変わっていくと、サービスの印象や評価がその当事者の家族や友人・知人に広まりやすくなり、当然広告・プロモーションをはじめとしたマーケティングプランの方向性や効果測定のあり方に大きな影響が出てきます。

 消費者が変化し、消費者との力関係が変われば、コミュニケーションの受け手であるオーディエンスの文脈に合った広告展開を行うこと、口コミ評価を前提としたブランドづくりを想定すること、顧客視点の時間軸と施策の連続性の中でシナリオを考えることなど、顧客から選ばれ続けるために、「送り手」ではなく「受け手」の視点で、多様で独自性のあるコミュニケーション展開を考えざるをえないようになるのです。

 たとえばテレビの視聴時間について、従来型の放送時間通りに見る「リアルタイム視聴」に対して、録画した番組を好きな時間に視聴する「タイムシフト視聴」の習慣が広がっていくと、リアルタイムのCM到達量と、録画再生によるCM到達量(つまり録画再生時にCMがスキップされずに視聴された分)を足し上げて、CMの合計到達量を確保するためのメディアプランの検討や、録画再生時にスキップされないようなCMの見せ方(アニメの途中に流れるCMにアニメキャラクターを起用するなど)を評価検証していく必要性が出てきます。

 一方デジタル広告においては、広告を非表示化するアプリが日本国内のApp Storeの有料アプリランキングで1位を取るなど、「興味がない広告は積極的にブロックする」という行動が浸透してきています。そうした状況へのカウンターアクションとして、企業はターゲットとする消費者のインサイトを細分化(スモール・マス化)して、それぞれの文脈に沿って興味関心を高められるような広告表現のあり方や、デジタルメディアの特性を活かして、消費者に広く受け入れられるような利便性の高いデジタル体験を考えなければいけない状況になってきています。

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