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デジタル変革マーケティング

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左脳でインプット、右脳でアウトプット

横山隆治氏 内田康雄氏

社員自らモノサシを作る功罪

 こうしたマーケティングダッシュボードを作らなくとも、十分にデータドリブンなマーケティング活動をしているという企業もあるでしょう。

 ただし、多くの場合、データは個々の社員の都合のよいものだけがパソコンから引き出される(プルされる)状況にあります。どんなデータを社内のKPIとして共通の基準値とするのか、そういうことが決まっていないために、各自がデータを加工します。一見データを活用しているようですが、データは全員がズレなく統一された指標を共有していないと意味がありません。

 「合意されたKPIデータが毎日プッシュされてくる」、この状態がないといけません。データドリブンにビジネスを進めるためには、社員は全員がプッシュされてくるデータを共通に認識しているという前提で会話がなされる必要があります。

 「それは、あのデータを認識したうえで言っているのか? 従来の慣習に基づいた発想ではないのか?」とすぐに問いただされるくらいに、共有されるデータを全員が認識していることが前提である必要があります。

 そうした環境を考えると、後述するように「常に全員のスマホにデータがプッシュされる」、または「オフィスで全員が見ることのできる大型ディスプレイに表示される」など、デバイス装備やオフィス環境もデータドリブンを支援するものになっていくでしょう。

 もし、データは十分に供給しているはずなのに、データに基づく対話が進まないとすれば、各自が勝手にデータをプルして、都合のいいデータだけを使うことを認めないというルールが必要です。

 それには、全社で部署間のズレ、経営と現場のズレ、時間のズレなどを補正し、共有言語を編み出すことが求められます。社外からのファシリテーション支援などもきっと必要でしょうが、データによって企業活動がどれだけ最適化され、どれだけ利益を生むかを具体的に認識できるようにすることから始めるのがよいでしょう。

左脳でインプットして、右脳でアウトプットする

 前述したように、データを駆使するといっても、実際にそれが「打ち手」であるマーケティング施策に繋がらないのでは、いくらデータを分析しても何らの成果も上がりません。

 その意味で、データ分析者とマーケティング施策の企画実行者の連携が最も重要です。もちろん、この2つを1人でこなせれば言うことなし、といえますが、まずそんなスーパーマンは日本に何人もいないでしょう。

 そうであれば、従来のマーケティング施策を企画実行している者が、データ分析の実際に踏み込んで知見を獲得することが必須といえます。なぜならデータサイエンティストがビジネスの実際とマーケティング施策を経験し、熟知するということには、無理があるからです。

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