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AI時代に求められる働き方と人事制度

樋口美雄・慶大教授 × マルセロ・モディカ・米マーサーCPO 対談

AI時代に必要なフレキシブル人材

――AIは人の仕事を奪うのではないかといった脅威論もあります。人の働きやすさや働きがいを高めるために、どう活用すればよいでしょうか。

モディカ AIやマシンラーニングが仕事のやり方を大きく変えるのは間違いないでしょう。ただ、人間に取って代わるというのは現実的ではありません。むしろ、AIの進化により、人は人間らしい個性を出して付加価値のある仕事、やりがいのある仕事に従事するチャンスが増えると言えます。

 今後、興味深いのは、AIなどの導入により、仕事のスピードが日によって変わったり、こなす量が変わったりするため、ワークフローを変更可能なものにしておく必要が出てくるという点です。つまり、そこで働く人たちも変化に順応できる人が求められる。今後、企業が採用すべき人材も変わってくるでしょう。変化を臨機応変に管理できる人、足回りよく、俊敏に物事に対応できる人、そして曖昧な状態にも順応できる、よりフレキシブルな人材になるのではないでしょうか。

樋口 私もAIが人の仕事を奪うことはなく、人間らしくない仕事は機械に任せ、人間でないとできない仕事にシフトするという変化が起きると思っています。その際に重要なのはダイバーシティーです。日本ではこれまで男性社員が中心の雇用制度が作られてきましたが、今後は女性や外国人にも対応しないといけない。一つの制度で管理するのは生産的ではなく、個々の社員に合わせた制度が必要になるかもしれません。

 それを可能にするのがAIです。今までは制度に人が合わせていましたが、今後は人に制度を合わせられるようになるので、ダイバーシティー人材の活躍につながるでしょう。ただし、あまりに制度が個人ごとに異なると、今度は格差が問題になりかねません。労働時間や賃金のバランスをどうとるか、多様化に備えることが重要になると思われます。

モディカ 日本は労働者の高齢化という課題もあります。会社としては従業員に長く働いてほしいでしょうが、年を取れば若い時代のようには働けなくなります。そこでAIを活用すれば、長く働き続ける手助けができるのではないでしょうか。

樋口 そのためには、社員自身が働き方を変えていくとか、時代のニーズに合わせて技能を身に付けていく必要もあるでしょう。また、過去の成功に固執するのでなく、フレキシブルに変化に対応できるよう意識を変えることも必要です。

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