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IoTへの挑戦、成長軌道へ

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協力:KDDI

新事業開発の失敗は「じゃまオジ」が原因?

三菱総合研究所 大川真史 氏

 注意すべき点は、最終的に「ユーザーに聞く」という基本方針を曲げてはいけないことだ。

 「サービス分野の伝説的な人や皆が一目置くような技術者の意見は、多くの場合、正しいでしょう。しかし、ユーザーではない人が言ったことを『その通りだ』と思って走り出すと大変危険です。たとえ正しいことを言っていたとしても、ユーザーが同じことを考えているかどうか、必ず確かめなくてはいけません」

 これを徹底しないでうまく行った例を大川氏は見たことがないという。

【ポイント④】50代以上は「世代の違い」を意識すべき

 冒頭でも述べたが、50代以上のマネジメント層の人たちは、IoTサービスの開発において自分たちが持っているビジネス感覚を過信しないほうがよいという。

 その理由は、スマホを使いこなすデジタルネイティブ世代の台頭だ。消費者としても、社員としてもこの世代が全世界で急速に増えている。

 「今、リアルな空間やアナログな空間でしか体験できなかったものを、常に身近にあるスマホのデジタル空間で体験できたりします。パラレルワールドが存在するような感じすらします。このようなデジタルサービスを当たり前のものとして楽しんでいる世代の人たちと話をすると、彼ら彼女らが認知するデジタルの世界や価値は、たぶんオジサン世代には理解できないものになっているのだと感じます。オジサン世代が社会人になったとき、部署に1台の共用パソコンしかなくメールアカウントも持っていなかったのですから、世代のギャップが大きいようです」

 しかし、新しいサービスをつくっていく領域、IoTでつないで新しい価値を生み出す領域というのは、まさにデジタルの世界である。「オジサン世代の人たちが理解できるもの、いいねと言ったものをサービスにしても、うまく行きません。各社のIoTプロジェクトを見ていても、明らかにデジタルネイティブな人たちが真ん中にいるプロジェクトだけがうまく行っています。ここに50代の事業責任者とかが出てきたりすると、だいたい議論がおかしな方向にころんでしまいます」

 新規事業/新サービス開発の中心には、「ユーザーと日常的に接している人」とともに「デジタルネイティブな人」がいる必要がある。そしてマネジメントの立場にいる人は、「実質的な議論は40代以下の若いリーダーに任せ、うまく理解できないことでもありのままを受け入れてみて考え、最低限の予算を付ける」という姿勢で臨むほうがうまく行くと大川氏は語る。ただし、プロジェクトでの議論は、やはり新サービス開発やIoTをよく理解している人がディレクター(ファシリテーター)役となって進めたほうがよい。社内にそうした人材が見つからないなら、外部の人材を活用することも検討する必要があるだろう。

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