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IoTへの挑戦、成長軌道へ

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協力:KDDI

新事業開発の失敗は「じゃまオジ」が原因?

三菱総合研究所 大川真史 氏

 大川氏によれば、最初に考えたアイデア通りにサービスをつくると100%失敗するそうだ。だから、開発の工程を順番に進めていく従来のウォーターフォール型の進め方は合わない。何かアイデアがあったときに、「ユーザーと一緒になった試行錯誤の中から、ユーザーが価値を感じるところまでサービスを落とし込んでいけるか」という点が重要なので、繰り返し型(リーン型)の進め方が必須となる。

 ユーザーの行動やモノの使われ方を的確に把握できるIoTのようなテクノロジーは、このようなサービスの改善に向いている。コマツの建設機械向けIoTシステム「KOMTRAX(コムトラックス)」は建機の予防保守や省エネ運転支援といった様々なサービスを提供しているが、「最初は建機の盗難対策としてGPS(全地球測位システム)と無線通信機能を付けたものでした。そこから多様なセンサーを加えていって建機の使われ方をよく観察し、ユーザーにとっての価値を次々に生み出す好循環をつくりあげた点が重要です」(大川氏)。

【ポイント③】アイデアは「ユーザーと日常的に接する人」に聞く

 プロジェクトチームを組むうえで大川氏が強くすすめることの1つは、新規事業/新サービス開発の中心に「ユーザーと日常的に接している人」を置くことだ。

 ユーザーがモノやサービスを本当はどのように使っているのか、実は企業側ではよくわかっていないことが多い。そういう「本当の使われ方」の中にイノベーションの種があることはよく知られている。しかし、「本当の使われ方」に関するユーザーの声は企業に届いていたはずなのに、多くはクレームの1つとして処理されてしまい、耳を傾けてこなかったのではないか、と大川氏は問う。

 こういう課題を解決するために、保守サービス部門や直接販売している営業部門、コールセンターのクレーム対応部門など「ユーザーと日常的に接している人」を新規事業/新サービス開発の中心に置くべきなのだという。

 「製造業に関して言えば、社内の誰かは、すごく筋の良さそうなアイデアを持っています。特に、日常的にユーザーと接している保守サービスやクレーム対応の担当者たちはネタの宝庫でしょう。

 普段、こういう人たちは新サービスを企画するという前提でユーザーの声を聞いているわけではありませんが、現場から離して『新サービスを企画する仕事』を与えると、筋の良さそうなアイデアをひねり出してきます。ただし、そのアイデアの意味や価値を解釈できるのはその人しかいないことが多く、『直感的に、なぜそれが良いのか』という説明すらうまくできないこともあるでしょう。そこは組織として、もやっとしたアイデアを言葉にする知識化の工程は必要になりますが、きちんとやれば新サービス開発につなげられます」

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