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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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中堅・中小の技術力を解き放つ「目利き」に

第2回 リンカーズの前田佳宏・代表取締役Founder & CEOに聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 事前にスクリーニングをするわけですね。ところで、最近は海外に生産や研究開発の拠点を置く企業が増えています。グローバルに技術を探したいというニーズも増えているのではないですか。

シリコンバレーにも拠点

前田 かなり増えていますね。自動運転車とか、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の技術などは、最初から米国のシリコンバレーで探したいという依頼も来ています。例えば、大手メーカーがシリコンバレーに拠点を置いても、駐在員が2~3年で交代すると人的ネットワークが広がりません。自動運転の最新技術を持つベンチャーを探したくても、どこにあるかわからない。そこで私たちがコーディネーターを通じて紹介するわけです。

長島 日本でやっているシステムを海外にも広げるというわけですね。逆に、海外の企業で日本の技術を使いたいというニーズも相当あるんじゃないでしょうか。日本はGDP(国内総生産)の2割が製造業で、そのほとんどが中小企業です。要素技術の裾野の広さ、レベルの高さは圧倒的に強みを持っています。LMSを海外に広げることができれば、日本の中小企業の活躍の場が一気に広がると思います。

前田 実は一度、ドイツ企業からの依頼があって、最初は技術の要件で数十社が手を挙げたのですが、英語ができるか聞かれた途端に数社に減ってしまったことがありました(笑)。言葉の問題は中小にとって大きな壁ですが、当社もシリコンバレーに拠点を設けましたし、LMSの英語版も進めて、世界に広げていきたいと思っています。

長島 外への展開と並んで、私がもう一つ重要な課題だと思っているのが、大企業の中でのオープンイノベーションです。ちょうど今、「働き方改革」が議論されていて、生産性を上げることが日本企業の最重要課題になってきています。ところが現実には、社内の他の部門で研究開発されていることを知らずに、複数の部門で似たようなことを平気でやっている。それが生産性向上を妨げる大きな要因になっています。

前田 社内に技術があるのに依頼してきて、後でわかったということは実際にあります。まずは社内、あるいはグループ会社やOB、既存の取引先などを探して、それでもなければ外部に依頼するのが本筋ですね。実は、大手メーカー側も問題意識は持っていて、社内の知見をどうやって共有すればよいか、頭を悩ませています。

 そこで、私たちが培ったプラットフォームを大手企業内に取り入れることができないか、事業化を考えています。例えば、ある部門の開発部長が社内コーディネーター役となり、他の部門も含めた50人くらいの研究開発者を束ねて情報共有していくような方法です。ただ、最近は大手企業も少数精鋭化が進み、他の事業部門のために人や時間を割くのが難しいのが実情のようです。

長島 実際に社内で情報を流通させようとすると、部門をまたがないと進まないんですが、上司からすると、「なんでおまえが他の部署のために働くんだ」となるんでしょうね。

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