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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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中堅・中小の技術力を解き放つ「目利き」に

第2回 リンカーズの前田佳宏・代表取締役Founder & CEOに聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 お話を伺っていて面白いなと思ったのは、コーディネーターの方がやっていることは、大手のニーズを糸口にして、中堅・中小企業に埋もれている技術をうまく引き出すことなんですね。つまり、暗黙知を形式知に変換しているわけです。具体的には、何段階かに分けて質問を投げかけて、徐々に情報を引き出していると思いますが、その辺りのコツというか、ノウハウをもう少し詳しく教えてもらえますか。

出し渋る情報をいかに引き出すか

前田 そこはまさにLMSの根幹で、私たちは多段階評価と呼んでいます。そもそも、私はこの事業を始める前は、ウェブ展示会システムを運営していました。中小企業が持つ技術をウェブ上で広く公開すれば、大手メーカーとの間でオープンイノベーションが進むのではないかと考えたのです。

 ところが実際にやってみると、大手メーカーはどんな技術を探しているか、何に使おうとしているのかという肝となる情報を出したくない。逆に、中小側は独自技術をライバルにまねされたくない。お互いに情報を出したがらないから結び付きようがない、というジレンマに陥っているのに、誰もそこに手を付けようとしていなかったのです。

長島 だから、オープンイノベーションの時代だと言いながら、掛け声だけで終わっていたわけですね。

前田 その通りです。そこで考えたのが多段階評価です。最初は緩い条件で幅広く情報を集めて、10社とか20社に絞る。そうすると、大手メーカーは情報が漏れるリスクが減るので、詳しい情報を出しやすくなる。一方、中小側は関門を突破したことでモチベーションが上がり、協力的な姿勢になっていく。そういう好循環が働いて、最終的に絞り込む段階ではお互いに信頼関係が築けるわけです。

長島 なるほど、面白いですね。情報管理リスクとモチベーションをうまくコントロールしながら、マッチングまでもっていくと。ちなみに、うまく相手が見つからないで終わるということはあるんですか。

前田 あります。大手メーカーが途中で案件を変えたり、取り下げたりすることがあるんです。社内の方針が変わってしまって、まったく別の企業と組むような場合もあるでしょうね。それと、そもそも発注条件自体に無理があるケースもあります。世の中に技術が存在しなくて、たとえて言えば「ドラえもんのポケットがないとできない」場合です(笑)。

長島 そういう場合はどうするのですか。

前田 そういう案件をできるだけ前段階で取り除くため、プレ調査をやっています。難しそうな案件の場合は、50人くらいのコーディネーターに聞いてみて、技術的に無理だとなれば、依頼をお断りすることもあります。

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