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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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中堅・中小の技術力を解き放つ「目利き」に

第2回 リンカーズの前田佳宏・代表取締役Founder & CEOに聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 マッチングの効率はどれくらい上がったんでしょう。

レポートで「落選」企業もフォロー

前田 佳宏氏(まえだ よしひろ)<br>

リンカーズ代表取締役 Founder & CEO。<br>

大阪大学工学部を卒業後、京セラを経て野村総合研究所に入社。コンサルタントとして6年半、メーカーの事業戦略や買収戦略に携わる。2012年、リンカーズの前身となるディスティを仙台市に設立。ネット上で技術や製品をPRできるウェブ展示会システム「eEXPO」を手掛けた後、2013年よりコーディネーターを活用して大手メーカーと中堅・中小企業をマッチングさせるサービス「Linkers」を展開。 前田 佳宏氏(まえだ よしひろ)
リンカーズ代表取締役 Founder & CEO。
大阪大学工学部を卒業後、京セラを経て野村総合研究所に入社。コンサルタントとして6年半、メーカーの事業戦略や買収戦略に携わる。2012年、リンカーズの前身となるディスティを仙台市に設立。ネット上で技術や製品をPRできるウェブ展示会システム「eEXPO」を手掛けた後、2013年よりコーディネーターを活用して大手メーカーと中堅・中小企業をマッチングさせるサービス「Linkers」を展開。

前田 いま、社員は約40人で、そのうちマッチング事業に直接携わるのは10人程度です。すべて手作業でやろうとすると100人は必要ですから、10倍以上は効率化されているんじゃないでしょうか。もちろん、効率化も大事なのですが、システム化による最大の効果は、マッチングで選ばれなかった中小企業へのフォローだと思っています。

 マッチング事業で一番重要なことはサステナビリティー(持続可能性)ですが、実はそこに重きを置いたプラットフォームは多くありません。私たちは落選した企業に次回以降も関わってもらうことがサステナビリティーに直結すると考え、1社1社へのフォローに力を入れています。具体的には「落選レポート」と呼ぶ報告書を送っているのです。

長島 へえー、それはどんな中身なんですか。

前田 その企業が、相対的にどんなポジションにあるか、技術力や対応力といった項目を〇X評価し、実力が一目でわかるものです。落選した企業からはよく、「この公募条件は厳しい。これに対応できる企業は日本に1社か2社しかないはずだ」といった意見が来ます。かつては、いちいち対応していて手間がかかっていました。しかし、このレポートを自動で送るようにしてからは、いかに自社に実力が足りなかったかよくわかった、もっとがんばろうと思った、といった声が届くようになりました。また、発注した大手メーカーからのコメントも載せており、これが中小企業にとって大変参考になっているようです。

長島 つまり、このレポートは世の中の流れがわかる中身が詰まっているということですね。大手企業の生の声が聞ける機会も貴重だと思います。この2つがあるから、次回もチャレンジしたいと思うんでしょうね。

前田 そうですね。サステナビリティーを実現するもう一つの要因として、コーディネーターがモチベーションを維持して毎回提案していただけるかどうかも重要です。そのための施策として、私たちはポイント制を取り入れています。例えば、大手から依頼が来たとき、候補企業を1社紹介していただくと1000ポイント付与します。これは1000円に換金できます。その企業が1回目の絞り込みで残れば、さらにポイントが追加されるといった仕組みで、最後まで残れば4万円程度になります。

長島 なるほど。コーディネーターの中には正社員でなく、嘱託の方とかもいらっしゃるから、インセンティブになっているわけですね。ところで、コーディネーターの方たちは普段、中堅・中小企業とどんな関わりを持っているんでしょう。

前田 多いのは、国や公的機関から補助金が付いたときに、その企業に技術アドバイザーとして半年くらい入り込んで指導するといった役割ですね。そうした活動を通じて、個々の企業の技術力や社長のキャラクターなどを把握しているのです。一方で、大手企業とのチャネルはあまり太くありません。そこで私たちが大手との間を取り持って、ミッシングピースを埋める役割を果たしたいと思っているわけです。

 コーディネーターの方にとっては、私たちが持ち込む様々な案件を通じて、詳しい情報はわからなくても、世の中のトレンドを把握できるメリットもあります。例えば、この時期には搬送機のオーダーが多いとか。こうした情報を普段の業務に生かせるのです。

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