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ネーミング全史

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進化の歴史は続く ネーミングNOW

岩永嘉弘 氏

メガシャキ ギガシャキ 目を引くメガ・ギガ序列。

 「メガシャキ」を初めて見たときは、目がシャキッとするドリンクという意味のネーミングなんだろうと軽く受け流した。しかし、続いて登場した「ギガシャキ」で、おっと思った。別分野のキャッチフレーズが頭に浮かんだ。フレッツ光の「ギガ速い」である。

 すごい速さ、ということを1秒間のビット数で表す「GIGA」。10の9乗=10億。IT(情報技術)の世界ではすっかりおなじみになった単語だ。フレッツ光の「ギガ速い」のCMはギガロボットを走らせて驚かせた。今や「ギガ」は「凄い」の同意語として流通している。という次第で、「ギガシャキ」はすごくシャキッとするという新感覚表現なのであった。

 では何よりすごいのか。当然、その前にあった先出の「メガシャキ」であろう。で、あらためてこのネーミングを眺めてみると「メガ」は「目が」であると同時に「MEGA」なのだということに気付いた。メガは10の6乗=100万。つまりギガの1000分の1で下の単位である。ややこしい話になったけれど、要は「メガシャキ」と「ギガシャキ」はすごさの順番なのであった。

 しかし、最初に「メガシャキ」を命名したとき、メガとギガの対を意識していたのだろうか。それとも「目が=メガ」から連想してギガシャキと命名した結果、「メガ」に二つの意味が重なったのだろうか。時代の旬のキーワードを見事に生かし刺激的な対のネーミングに仕立てあげて、シリーズ商品の序列を分かりやすく伝えている。

 同種のドリンクで分類を見事にやっている先輩が「眠眠打破」だ。その強力版を「強強打破」、さらに最近、その上をいく「激強打破」と進化させた。こちらはIT系のメガ&ギガとは対照的に、漢方のイメージだ。漢字二文字の変化で勝負しているところがおもしろい。

 商品のシリーズ化、発展はよく起こる。そのときネーミングでその序列をどう表現するか。知恵の絞りどころである。

岩永嘉弘著 『ネーミング全史』(日本経済新聞出版社、2017年)「3、進化の歴史は続く『ネーミングNOW』」から

岩永嘉弘(いわなが よしひろ)

早稲田大学第一政治経済学部新聞学科卒業。光文社雑誌編集部、明治製菓宣伝部を経て、コピーライターとして独立し、ロックスカンパニーを設立。ネーミングを手がけるコピーライターのパイオニアとなる。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。広告のみならずブランディングやCI(Corporate Identity)の分野でも活躍し、数々のネーミングを世に送った。ネーミングの第一人者として認められている。手がけた主なネーミングに「日立洗濯機からまん棒」「東急Bunkamura」「日清oillio」『月刊STORY』「渋谷MARKCITY」「JAL悟空」「JR イオカード」「生命保険・人生まだまだ!! これからだ」「大塚製薬UL・OS」「ホンダFIT/MOBILIO」「ソラシドエア」「大手町HOTORIA」などなど。主な著書に『すべてはネーミング』(光文社新書)『売れるネーミングの成功法則』(同文舘出版)『一行力』(草思社)『極めことば』(KKベストセラーズ)『真夜中のプレゼンテーション』(PHP研究所)『リボーンの森』(メディアパル)など多数。ホームページURL http://roxcompany.jp

ネーミング全史

著者:岩永嘉弘
出版:日本経済新聞出版社
価格:2,484円(税込)

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