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ネーミング全史

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進化の歴史は続く ネーミングNOW

岩永嘉弘 氏

D A K A R A 日本語を英字で表記、なぜ?

 最近、妙にネーミングの文体、というのだろうか、文字表現が気になってしようがなくなった。

 ネーミングは、大ざっぱに分けて、(1)カタカナ、(2)平仮名、(3) 英字、(4)漢字、の四つの表記がある。例えば、飲み物を例にとれば、(1)「メグミルク」、(2)「ごはんですよ!」、(3)「BOSS」、(4)「爽健美茶」といったものがあるし、雑誌のネーミングを例にとれば、(1)『サライ』、(2)『るるぶ』、(3)『VERY』、(4)『女性自身』......といった具合である。もちろん、それらの混合体(「お~いお茶」「カテキン緑茶」「日経MJ」、などなど)もあるから、表記スタイルは実はけっこう複雑なのだが、まあ一応、この四つがネーミングの文体の基本と考えてよかろう。こんなに多様なネーミング表記が通用している国は、世界に例がないでしょう。

 さて、この基本の四つなのだが、よく観察してみると、それぞれがまた複雑な工夫をしていることが分かる。

 例えば「TE・A・TE」は(3)英字表記、のカテゴリーに入るのだけれど、その音は和語である。つまり「手当て」を英字表記したものだ。元来、しばしば外国語を翻訳したくないとき、ネーミングをカタカナで表記してきた。「コカ・コーラ」しかり。「デルモンテ」しかり。「マイクロソフト」しかり。

 ところが、「TE・A・TE」は逆である。日本語を英字(ローマ字)に置き換えている。日本人に向かって、わざわざ、である。おもしろいなあ、と思って観察すると、近年この形態のネーミングが、実に多い。「das」は「出す」だし、「DAKARA」は「だから」だし、「TADAS」は「正す、質す」だろう。「MOUGA」は毛芽の英字表記だという。

 「das」「TADAS」あたり、一見外国語ではないかと錯覚させるのは、「す」の表記をSUとせず子音のSのみにしているからだろう。なるほど、この手口は要するに外国語っぽく見せたいんだ! と気が付いた次第であった。

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