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ネーミング全史

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進化の歴史は続く ネーミングNOW

岩永嘉弘 氏

うどん県 周辺自治体を、どんどん刺激!

 香川県観光協会のキャンペーンです。「うどん県」というのは県広報のスローガンなのだけれど、いわばニックネームの体裁をしている。呼び名=ネーミングなのだ。この合言葉のもとに県をあげて盛り上げた、というよりこのネーミングに乗って様々な企画を展開した。一致団結うどん県、となったのである。

 その中心は、もちろん商品企画。讃岐うどんを真ん中に据えた企画は当然として、そこから発展して「うどんかりんとう」「うどんアイス」「うどんバーガー」「うどんソフトクリーム」「うどんドロップ」と続いた。うどんで作った「うどんドレス」や「さぬきうどん風呂」という入浴剤まで生まれた。サッカーチームのユニホームにももちろん「うどん県」の文字、地元鉄道会社のゆるキャラ「ことちゃん」も「ぞぞー」とうどんをすすっている。

 ことほどさように徹底したキャンペーンで、県のプロモーションを推進中である。そしてそのコピーはその後こう変わった。「うどん県。それだけじゃない香川県」。うどんは象徴だ。アイコンだ。一点突破、それだけじゃない香川県の魅力アピールに移ろうというわけである。

 しかしこのキャンペーンの功績は、香川県だけにとどまらなかったことにある。

 周辺の県がいち早く反応した。なかでも瀬戸内海を挟んだはす向かいの広島県の反応は早かった。「おしい! 広島県」。これがスローガンだ。「おしいは、おいしいの一歩手前。」と、名産の牡蠣、広島風お好み焼き、レモン、さらには源氏に負けた広島ゆかりの平家まで持ち出して、「最後に負けておしい」と嘆いてみせる。「広島県おしい! 委員会」を立ち上げて「マンスリーベストおしい!」を県民から募集もした。

 とにかく、「うどん県」は地方のマーケティング活動に火をつけた。野火のように広がる気配である。

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