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トランプ演説に好感、景気拡大「期待」さらに高まる

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 去る2月28日、米議会上下両院合同本会議において、トランプ米大統領による初めての施政方針演説が行われ、日本でもその様子がライブ中継されるなど大きな関心を呼んだ。演説内容の詳細については他に譲るが、筆者のような市場ウォッチャーの立場から言えば、「ようやくホッと一息つけた」というのが正直なところである。

 今回の大統領演説については、もともとスピーチライターの草稿をベースとした当たり障りのない内容になる可能性が高いとみられていた。実際、その内容は就任演説のときと同様、全体に抽象的かつ新味の乏しいものであったが、老朽化したインフラの再構築に伴う投資や雇用の一層の拡大、「歴史的な」税制改革などについても一応は触れていた。具体策には欠けるものの、総じて「無難」な内容であったという印象だ。

 少なくともドルの信認を失墜させるような演説ではなく、市場の期待は少しもしぼむことなく、NYダウ平均は史上最高値を更新した。

 同時に、市場の目は直ちに「次の材料」へと向かっている。最も注目度が高いのは、やはり3月14~15日の日程で開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)において「追加利上げが決定されるか否か」という点であろう。

 仮に3月のFOMCで利上げが見送られても、5月、6月のFOMCで追加利上げが決定される可能性は高いとみられており、今後も市場の期待は引き継がれるだろう。もちろん、それは米国の景気拡大に対する期待でもあり、ドルや米・日の株価にとっては追い風とみなされやすい。

 そんな中、足元でドル(対円)は114円前後(原稿執筆時)にとどまり、日経平均株価はいまだ2万円の大台を回復できずにいる。果たして、今後もう一段の上値に期待することはできるのか。国内上場企業の3月期末決算も控えるなか、改めて総合的に考察しておきたい。

米大型減税期待は引き継がれ、さらには3月米利上げ期待も...

 前回の『熱かった「トランプ相場」は終息か、第2幕が開くか』で「遅くとも2月末までにはトランプ政権による経済政策の全体的なスケールや具体的中身が徐々に明らかになってくる」などと述べたが、実際には少々その時期が遅れている。

 振り返れば、トランプ大統領は2月9日に「2~3週間内に驚異的な税制改革案を発表する」などと発言して市場の期待を大いに盛り上げた。だがその後、医療保険制度(オバマケア撤廃に伴う対応)の審議を最優先することになり、具体的な税制改革案の発表は3月中旬頃に持ち越される見通しとなった。

 自ら「オバマケア撤廃」の大看板を掲げておいて、税制改革案との調整に思いが至らなかったことについてはお粗末としか言いようがないが、施政方針演説で米大統領が「歴史的な」と称した税制改革案への期待は今後も引き継がれ、むしろスケジュールの遅れはドルを下支える一因になり得るものとも考えられる。もちろん、実際に具体的な減税案の内容が明らかになってくれば、それが将来的な景気拡大期待へとつながっていく可能性も大いにあろう。

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