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タカタ問題とパロマ問題に共通する「世の中の誤解」

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

 主力製品のエアバッグが全世界で第2位のシェアを占めるタカタは、2008年頃から同社製エアバッグの異常破裂に関連する事故で死傷者が多数発生、米国国内を中心に厳しい批判にさらされ、現在、全世界で対象車1億台以上、費用総額1兆円規模の大規模なリコールに直面している。

 今年1月に米司法省との間で合意した和解金などリコール関連費用の計上により、3期連続赤字見込みである。また、リコール費用の大半を自動車メーカーが肩代わりしているため、その負担によっては、いつ債務超過に陥ってもおかしくない。再建に向けた協議中で、まさに存亡の危機に立たされている状態だ。

 しかし、製品の安全性を全体的に評価した場合、タカタのエアバッグを「危険な製品」と単純に決めつけることができるだろうか。それは、10年余り前に、湯沸かし器を巡って猛烈なバッシングを受けたパロマの問題とも共通する面がある。

タカタ製エアバッグ問題の本質

 衝突時に確実に作動し、運転者、同乗者の身を守るために装備されるのがエアバッグだ。その不具合の典型は、車体の衝突時に作動しない「不発」だが、実際には、エアバッグの作動には様々な要因がかかわっており、重大な死傷事故について、「衝突」を起こした原因とは別に、エアバッグの不作動やその原因が問題にされることは少ない。

 一方、エアバッグが異常な勢いで膨らみ、破裂する「暴発」で人が死傷する事態が生じた場合、その作動と死傷の結果との因果関係が明白なので、エアバッグの安全性の問題がただちに顕在化する。

 エアバッグに内蔵されたガス発生装置には、エアバッグを適切なタイミングで膨らませるために強力な火薬が用いられている。この火薬については、1990年代まで使われていたアジ化ナトリウムが毒性の問題で使用禁止となったことを受け、タカタ以外のメーカーは硝酸グアニジンに、タカタは硝酸アンモニウムに切り替えた。硝酸アンモニウムは、硝酸グアニジンよりもガス発生力に優れており、作動性能が良い。

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