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この時代を乗り切るワークスタイル改革

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働き方の常識変える、リクルートの奇策

リクルートホールディングス 働き方改革推進室 室長 林 宏昌氏

 従業員数3万8000人超のリクルートグループが、働き方改革に急ピッチで取り組んでいる。2015年4月、グループ中核のリクルートホールディングスで「働き方改革プロジェクト」を発足。2カ月後には「週に1~2回の出社を限度とするリモートワーク」を試験的に開始した。これ、裏を返せば「週に3~4日は出社禁止」を意味する。

リクルートホールディングス 働き方改革推進室長<br><b>林 宏昌(はやし ひろまさ)氏</b>



リクルートホールディングス 働き方改革推進室長
林 宏昌(はやし ひろまさ)氏

 「既存のスタイル・習慣を改革するには"振り切った策"が必要」と力説するのは、働き方改革プロジェクトを牽引する働き方改革推進室 室長の林 宏昌氏だ。

 もちろん、グループ企業全社で一斉にリモートワークを始めたわけではない。林氏が中心となって進めた実証実験に参加したのはグループ2社(リクルートホールディングス、リクルートアドミニストレーション)の約300人だが、林氏は「まずはやってみる。不便なことは後から改善すればよい。そうすれば課題の発見も早い。個々のグルーブ企業でも、それぞれが課題を見つけ、改善に取り組んでいる」とスピードの重要性を訴える。

 不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーは、カフェなどで仕事をする際の飲食代を「場所代」として1回500円、1日4回までを上限に支給する施策を発表して話題となった。「前例がなくても、それがベストな解決施策であれば、実施しない理由はない」というのがリクルートの企業文化だ。

 なぜ、リクルートは働き方改革を急ぐのか。改革の先に何を見据えているのか。そこには、日本社会全体が抱える問題への危機感があった。

「結果平等」でも働くプロセスは「不平等」

――「働き方改革プロジェクト」を立ち上げた背景を教えてください。

 きっかけは、女性の活躍推進を中心としたダイバーシティー(多様な人材の活用)の推進活動です。私は2005年に新卒でリクルートに入社したのですが、当時、多くの女性の先輩たちは、出産・育児を機に、30歳前後で会社を辞めていました。どんなに仕事ができても、仕事と育児の両立には高いハードルがあり、勤め続けるのが難しい状況だったのです。

 世代で切り分けるのは適切ではないと思いますが、自分よりもひと回り上の先輩を見るとワーキングマザーが少ない。実際、リクルートグループ内の統計を見ても、その傾向は顕著でした。

 リクルートは女性の活躍推進を核としたダイバーシティーに長年取り組んできました。事業所内保育園の設置など、育児と仕事の両立支援にも取り組み、育児や介護を担う社員を対象にした在宅勤務制度も設けていました。しかし、同制度はあまり利用されていなかったんですね。

 その理由をワーキングマザーの社員に聞くと、「自分ひとりだけのためにテレビ会議のセットアップをしてもらったり、資料を事前に送付してもらったりするなど同僚の作業が発生し、逆に迷惑をかけているのではないか、という負い目や遠慮があり使いづらい」と言われたんです。また、なかには『家にいるなら家事もよろしく』とパートナーに言われ、家事の負担が増えたと言う人もいました。

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