日本経済新聞 関連サイト

長島聡の「和ノベーションで行こう!」

記事一覧

「異床同夢」で日本の技術はもっと強くなる

第1回 アスタミューゼの永井歩社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 1+1=2ではなくて、異なるものが合わさってスパイラルアップしていく、相乗効果を出していくのが理想ですね。ところで、アスタミューゼとローランド・ベルガーもイノベーション創出コンサルティングの分野で業務提携をしました。両社の提携を通じて実現したいことは何でしょう。

やりたいことを夢中でやれる社会を

永井 いま世界的にものづくりへの回帰が始まっていると感じています。ことづくりをするためにはハードも必要で、ソフトだけではできない要素に再び光が当たり始めているとも言えるかもしれません。これは技術戦略支援に強みを持つ両社にとって追い風だと思っています。一方、日本ではオープンイノベーションという手段が目的化している気がしています。とりあえず大学と共同研究してますとか、ベンチャーと協業してますとか、そこで終わっていて、最終的な価値を生み出すところまで行っていないケースが多いのです。

 もちろん、10年前にはオープンイノベーションという概念自体が受け入れられていなかったことを考えると、最近は必要性に気づく企業が増えてきたことは確かです。私たちもゼロから1を生み出すきっかけ作りや、社会にある様々な意思やニーズをつなぐところまではできていると自負しています。しかし、1を100とか1000に増やすための事業戦略の部分は正直言って力不足を感じていました。そこをローランド・ベルガーと組むことで補強していきたい。実際、多くの企業から、0から1までではなく100までやってほしい、といった要望は来ています。

長島 どういう価値を生み出したいのかとか、そこに気づいたり、意思を固めたりするための情報を提供することで芽が生まれます。その芽をどうやって今の事業にしっかり加えて成長の柱に育てるか、企業としての成長のパスを描くことで、経営者が納得感を持って前に進むことができる。それを後押しし、社員にも浸透させていく。経営者の悩みに応えて、シナリオを提案し、事業計画に落としていく。それぞれの場面に応じて、両社が得意分野を持ち寄っていろいろな絡み方ができそうで楽しみですね。ちなみに、永井社長は夢ってありますか。

永井 そうですねえ。最初は漠然とグーグルに勝るような社会インパクトのあるビジネスを立ち上げたいというのが夢でした。ただ今は、私たちが関わっている企業がそういうビジネスをたくさん作っていけるように支援したいですね。そして、最終的には個人レベルでも、大手企業と同等以上のインパクトがある事業や技術を生み出せるところまで実現したいと思っています。これからはロボットやAIがどんどん進化して、人がやりがいを感じるところ以外の仕事は代替されていくんだと思うんです。誰かの役に立ち、さらにやりがいのある産業を少しでも多く生み出したいですね。マーケットでどれだけシェアを奪ったとかは記録に残りませんから。

 それと、多くの会社の新規事業に関わって思うのは、人も技術もたくさんあるのにも関わらず、やりたいことがあってもほとんど資源を投下できないケースが多いんです。だから、競合会社がひしめくレッドオーシャンでパイの奪い合いをしている。成長市場であるブルーオーシャンにできるだけ技術・人材の資源やお金が流れるようにしたいですね。

長島 私も最近、日本では本当にやりたいことをやってる人が減ってるんじゃないかなと思っています。これは社会にとって、あまりいいことじゃない。モチベーションのない人の集まりは、ゆがみも生みやすい気がします。どんなことでもいいから、やりたいことを夢中になってやってる人が1人でも多くいるのが理想ですね。それぞれの人に合った刺激が届いて、みんながちょっと手を伸ばせばできるんじゃないかと思えて元気になる。そんな社会を永井社長と一緒に作って行けたらと思います。今日はどうもありがとうございました。

PICKUP[PR]