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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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「異床同夢」で日本の技術はもっと強くなる

第1回 アスタミューゼの永井歩社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 2つ目のお金の評価のところが重要だと思いました。その技術自体の評価だけでなく、世の中でどれくらいの評価を得ているのか、受け入れられているのかということも含めて提供する。それによって、顧客が取り組む領域を決める上で、意思決定の精度を高めるメリットがあるんだと思います。

ロジックだけでは価値は実現しない

永井 そうですね。投資・資金調達に関する情報には2つの側面があると思っています。1つは単純にお金の話。もう1つは意思ですね。私たちはたくさんの顧客を支援する中で、技術をどう使えるとか、例えばその知財が強いか弱いか、というロジックだけでは価値が実現しないという実例を多く見てきました。やはり、意思とお金がないと血が通っていかない。その事業を製品を強烈にやりたい、ほしいと思っている人がたくさんいるかどうか、客観的に判断するエビデンスとして、お金の部分を見ているわけです。

長島 意思を生み出していくプロセスに深く関わっていこうとしているわけですね。話は少し変わりますが、アスタミューゼでは人と人をつなぐ事業も手掛けています。単なる収益源の多様化だけではない感じがしますが、どんなこだわりを持ってやっているんでしょうか。

永井 知の交流を促す事業に12年以上取り組んできましたが、やればやるほど思うのは、すべての知を生み出しているのは人であるということです。ニーズや機会が多様化、細分化している現代では、個々の人の意思の力、想像力はイノベーションに必須だと考えています。究極的には人さえいれば、事業や技術は後回しでもいいとさえ言えます。特に海外では、企業買収の目的が、実質その事業や技術を生み出したキーパーソンを確保するためであるというケースが非常に増えています。日本は資源のない国であるにもかかわらず、海外に比べて人を軽視していることに危機感を覚えています。

長島 人と人をつなぐ場合、何年、どこで、何をやってきたかは履歴書でもわかりますよね。マッチングとかの成果を上げるために、その人の能力をどう表現するか、分類・評価などで工夫している点はありますか。

永井 私たちはその人がどんな企業、研究、事業、特許に関わってきたか、また、ベンチャーの役員になったことがあるかといった情報まで把握しています。

長島 ほおー、すごいですね。

永井 その人の、より本質な意思に近いところの情報を集められるよう心がけています。履歴書や年齢といった本質から遠い情報で転職などが決まるのは本当にもったいないですから。

長島 そうですよね。たくさん転職してると、ジョブホッパーと思われちゃうかもしれないし(笑)。実際は短期間で成果を出して、引く手あまたという人もいますからね。ちなみに人材事業は技術職が対象ですか、それとも営業やマーケティングも含みますか。

永井 はい、含みます。文系理系は関係なく、専門的な職種では、たとえば弁理士・弁護士だと判例の情報まで保有しています。アウトプットした公開情報はすべてひも付けることは可能です。

長島 そこまでできると若干こわい面もありますね(笑)。

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