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長島聡の「和ノベーションで行こう!」

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「異床同夢」で日本の技術はもっと強くなる

第1回 アスタミューゼの永井歩社長に聞く

ローランド・ベルガー 日本法人社長 長島 聡氏

長島 なるほど。でも現在の事業は情報を集めるだけではないですよね。

経営者が納得して意思決定するには

永井 歩氏(ながい あゆむ)<br>

アスタミューゼ代表取締役社長。<br>

東京大学大学院工学系研究科修了。大学では機械工学・人工知能を学び、大学院では原子力工学・数値流体力学を専攻。2005年9月、大学院在学中にパテントビューロ(現アスタミューゼ)を設立し、社長就任。新規事業・イノベーション支援を中心としたコンサルティング事業、人材事業、ウェブプラットフォーム事業を展開、現在に至る。 永井 歩氏(ながい あゆむ)
アスタミューゼ代表取締役社長。
東京大学大学院工学系研究科修了。大学では機械工学・人工知能を学び、大学院では原子力工学・数値流体力学を専攻。2005年9月、大学院在学中にパテントビューロ(現アスタミューゼ)を設立し、社長就任。新規事業・イノベーション支援を中心としたコンサルティング事業、人材事業、ウェブプラットフォーム事業を展開、現在に至る。

永井 はい。ソフト産業以外では、単に技術を公開するだけでは役に立たない、その技術をどう使うか、どう事業に結び付けるかという情報や支援も必要だということがわかりました。さらにその後、技術視点からの事業戦略だけでは物事の片側しか見ていないということにも気づきました。大企業の経営者の方が新しい事業の立ち上げに納得するには、マーケットや顧客の視点も必要だということで、そうした投資や新製品に関する情報も集めていきました。

長島 やはり、集めた情報がどう経営者に伝わり、経営者がその情報をどう咀嚼(そしゃく)して、自分なりに活用できるかというところまで踏み込んでいかないと何も生まれないということですね。ただ、それだけの情報を集めるのは大変だと思いますが、どうやって集めているんですか。

永井 一言で言うと、機械、お金、人のすべてを使って集めています。最初は米グーグルのように、Crawler(クローラー、※4)と呼ばれる機械を使ってウェブ上で公開されている情報を片っ端から集めるのがメインでした。しかし、始めてみるとweb上で公開されている情報は限定的で、当たり前なのですが、特に先進的な情報であればあるほど公開されていないことがわかってきました。逆に、こうしたGoogle検索には出てこない情報を集められれば、当時はグーグルにも勝てるんじゃないかと考えて、企業として体力がついてくるのに合わせ、大きな資金を調達し、世界の政府機関や民間企業などから一次データを大量に購入していきました。さらに、まだ世界で誰もデータベース化しておらず、公開すらされていない情報を取得するために、世界で各分野の専門家達数百人以上と契約し、日々情報を収集してもらっています。

(※4)ウェブ上の文書や画像などを周期的に自動で収集するプログラム。主に検索エンジンのデータベースなどに使われるほか、調査などでも利用される。

長島 もし差し支えなければ、データベースに投資してきた金額はどれくらいなんでしょう(笑)。

永井 具体的には言えないんですが(笑)。数億円というところでしょうか。データを集めることや、データベースを構築することも大変な投資ですが、集める情報の言語自体が現在、二十数カ国語あり、その翻訳だけでも非常に大きな手間とお金がかかっています。事業を始めた当初はクラウドサービスも普及しておらず、データセンターを借りたりして非常にお金がかかっていました。ですから、会社を立ち上げてほとんどの期間は利益がない状態で、最近ようやく注目され始めて資金も回り始めたところですね。

長島 それでも出資していた人たちというのは、この事業のポテンシャルを高く評価していたということですね。世の中のイノベーションや技術に関する情報を徹底的に把握することで、経営者の意思決定などにはどんなメリットが生まれるでしょう。

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