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熱かった「トランプ相場」は終息か、第2幕が開くか

経済アナリスト 田嶋智太郎氏

 ついに、米国でトランプ新政権が始動した。前回の『2017年、円安&株高はどこまで進む?』の冒頭で「市場の一部には『トランプ次期米大統領の就任と前後して、多くの人々が夢(幻想)から覚め、急に先行き(現実)を不安視し始めるのではないか』との見方もある」と述べた。

 実際、2017年1月の外国為替相場は、当初こそドルが強含みでスタートし、1月3日には1ドル=118円61銭までドルが上値を伸ばすと同時に、対ユーロでのドル高が1ユーロ=1.0340ドルの水準まで進む場面もあった。しかし、その後は徐々にドル買いポジションを解消する動きが強まり、対円でのドルが1ドル=112円台半ばの水準まで下押すと同時に、ユーロが対ドルで1ユーロ=1.07ドル台後半の水準まで値を戻す場面も見られた。やはり、1月20日に行われた米大統領就任式ならびに就任演説を控えていた時期においては、「何が飛び出してくるかわからない」という漠とした不安が市場心理をややリスク回避的なものにしたわけだ。

 果たして、昨年の米大統領選後に一気に熱を帯びた「トランプ相場」は、もはや幕引きということになってしまったのか。それとも、これから「第2幕」がスタートすることとなるのか。矢継ぎ早に繰り出される大統領令の中身に対して、少なからぬ米国民が不安や怒りの感情を露わにしているが、その一方でNYダウ工業株30種平均(NYダウ平均)が「史上初の2万ドル台乗せ」となるなど、米株価は極めて好調に推移している。トランプ新政権始動後の当面の金融相場はどこへ向かうのか。いまだ先行き不透明な要素も数多いが、ここで冷静かつ慎重に考察しておきたい。

米経済政策の具体像が見えてくるのはこれから...

 トランプ新大統領の就任演説を振り返ってみると、あまり新味のない内容であったばかりか、経済政策の具体的な内容に踏み込んだものではなかったこともあり、市場にはいささか失望したような反応も見られた。もちろん、経済政策の具体的な中身が明らかになってくるまでに少々時間を要するのは当然のこととも考えられる。

 そもそも就任1期目の米大統領は、年初に基本政策を示す恒例の一般教書演説ではなく、議会演説として政策を説明することが慣例となっている。ライアン米下院議長によれば、米議会上下両院本会議にトランプ大統領が招待されるのは2月28日になるとのことだ。

 また、2月初旬には翌会計年度の予算方針を示す「予算教書」が議会に提出されることになっているが、原稿執筆時点においては、まだ財政支出の大体の規模も明らかになっていない。つまり、トランプ政権による経済政策の全体的なスケールや具体的中身を市場が評価するまでには、もう少し時間が必要になるということである。

 大まかな方向性として、かなり拡張的な財政政策に踏み切ろうとしていることは間違いなさそうであり、その点に対する市場の期待はなおも衰えてはいない模様だ。実際、先にトランプ大統領が石油パイプラインの計画推進や、製造業における届出の簡素化に関する大統領令に署名したと伝わった場面では、市場でインフラ投資拡大や規制緩和による米景気刺激が意識され、米株価が力強く上昇するというシーンもあった。

 何より、1月25日にNYダウ平均が史上初の2万ドル台に乗せ、それから3営業日連続して2万ドル台で推移したことにより、市場全体としてリスク選好ムードがやや高まったことは見逃せない。これにつれて日経平均株価は1万9000円台を回復し、一時的にも1万9500円あたりまで上値を伸ばす場面も見られた。また、米・日の株価が強めに推移していることもあり、対円でのドルは比較的底堅く推移している。

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