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経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

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ケース25:危ない会社の窮状につけ込んで、うまいこと乗っ取れ!

弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

今回の悩める経営者:株式会社マルチ・リレーション 代表取締役 菅野かんの孝秀たかひで(34歳)
相談内容

 先生! どうしたらいいんでしょうか!

 カネを貸したい。友だちだし、金利はいいし、商売もしっかりしているように見える。でも、貸したらカネが返ってこないような気がしてならない。本当に、どうしたらいいか。今回ばかりは、私の野生のカンも働きません。

 少し話が長くなりますが、経緯を説明します。

 川本紗里って、いう、大学時代からの友だちがいるんです。有名なレストランチェーン「トライアングル」のオーナー社長の娘で、現在、同社の専務だかなんだかをやってます。まあ、大学のときは、金持ちのお嬢様で、ブイブイ言わしてた。ここだけの話、大学時代、付き合ってました。ぶっちゃけ、元カノです。

 その後、「あんたみたいな貧乏な苦学生なんてうんざり」とか言われて、フラれ、長らく音沙汰がない状態でした。まあ、風の噂で、お父さんの会社の役員になって、「女性実業家」として相変わらずブイブイ言わしてる様子を聞いてました。

 で、その彼女が突然「事業についていろいろ情報交換したい」ということで訪ねてきて、久しぶりに会っていろいろ話を聞いてたら、ワンワン泣きはじめて......。

 どうやら、「トライアングル」社は、お父さんが、為替デリバティブだかなんだかよくわからない金融商品に手を出して、大損した挙句、売り上げの低迷もあり、経営がスゲーヤバイ状態みたいなんです。

 それで、大学卒業後、「キャバクラやホストクラブを経営し、ビジネスも順調で、言えば嫌味になるくらいカネを溜め込んでいる」ボクの噂を聞きつけ、カネの無心に来た、というわけです。

 「トライアングル」社は、彼女の父親が100%株を持ってるオーナー会社で、当然ながら上場とかはしていない。銀行からべったり支援を受けて、次々に店を展開して、一代で大きくしたようなんです。役員は全員親族で固めてますが、ファミリーの役員全員、いまだに、いいところに住んで、外車も乗り回して、浮世離れした生活を送ってる状態です。

 でも、放漫経営のツケと金融バクチで空いた大穴が相当でかかったらしく、銀行からもすっかり見放され、土下座して頼み込んでも、カネは貸してもらえず、「M&Aのお手伝い」と称して身売り先を紹介される始末だそうで。

 彼女曰く、「問題ない。2億円貸してくれたら、来年くらいにはV字回復して、金利15%つけてきっちり返す」って話ですが、まあ、どうだか......、ってところです。

 でも、銀行とかがほぼすべての不動産とかに担保くっつけてるので、担保とか一切ない。エゲツないフラレ方した元カノから涙目ウルウルで「私と私の会社を信じて」って、言われてるだけ。

 ま、私も、金利収入はオイシイし、裏切られたとは言え、彼女は助けてやりたい。それに、今、やってるキャバクラやらホストクラブの商売もイマイチ世間に顔向けしにくいし、天下の「トライアングル」に恩を売って、社外役員とかって形で経営に参画したい。

 でもなあ。何せ、あの、「手のひら返しの、裏切りオンナ」には痛い目にあってるし、カネが返ってこないリスクを考えると、どうしたらいいかわからなくて。

 先生、何か、いいチエありますか?

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