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トランプ政権で日本経済はこうなる

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日本の金融市場への見方は「短期的には楽観」

熊谷亮丸 氏 + 大和総研

 前回、トランプ政権の発足に伴う米国の政策変更が、日本経済に与える影響の経路は次の3つがあると述べた。1つ目は、米国の通商政策変更によって起こる、米国向けと世界向け輸出の変動という経路。2つ目は、米国の政策変更を要因とした米国の国内需要の変動によって起こる、米国向けと世界向け輸出の変動という経路。そして3つ目は、トランプ・ショックでグローバルな金融市場が大きく動揺し、その影響が日本経済に波及するという金融面からの経路。次に、3つ目の経路として提示した、金融面の変動が日本経済に与える影響について、短期・中長期の視点から解説しよう。

円安・ドル高方向に振れやすい4つの理由

 トランプ政権発足が日本の金融市場に与える影響についてのわれわれの見方は、「短期的には楽観」である。

 この楽観とは、日本経済にとって好材料になるとみられる円安・ドル高、そして株高を意味している。一方で悲観とは、反対に円高・ドル安、株安を指す。

 短期的な視点に立った場合、トランプ政権が発足することによって、為替相場が円安・ドル高方向に振れやすいとみる理由は、以下の4点である。

 第一に、トランプ政権下では、少なくとも短期的には、大胆な景気刺激策によって、米国経済が劇的に改善する可能性がある。

 第二に、米国企業が米国内に留保利益を還流させれば、税制上有利な扱いを受けることができるため、米国への資金流入が加速するとみられている。

 第三に、トランプ政権下で、金融面での規制緩和が行われることを期待する向きも多い。

 第四に、伝統的に米国の共和党は、引き締め気味の金融政策を志向するとの見方がある。

 以上の4つは、どれも為替市場において円安・ドル高を進行させる要因であり、最終的に日本経済に好影響を与える。

 そもそも、なぜ円安・ドル高の進行が日本経済に対してプラスの影響を与えるのだろうか?

 一般的に、日本では円安・ドル高の進行は、企業収益全体に対してプラスに作用すると解釈されている。

 例えば、1ドル=100円から120円に円安・ドル高が進行した場合を想定してみよう。これまで1ドル=100円で販売していた商品が、商品の質に全く変化がないにもかかわらず、円安・ドル高の進行によって、120円で販売することが可能になったら、企業の利益はどうなるだろうか?

 答えはもちろん、ドル建てで商品を販売している輸出企業は、より多くの利益を上げることができるようになる、である。

 企業業績の拡大は、その後、企業が設備投資や賃上げを実施するための原資となり、日本経済の好循環をスタートさせる起爆剤となりうる。

 もちろん、海外から原油や鉄鉱石などの原材料を輸入している企業においては、輸出企業とは正反対の悪影響が生じる。

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