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M&Aは社員にどう影響を与えるのか

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合併後、人事統合を効果的に進めるには

クレイア・コンサルティング 執行役員 マネージングディレクター 針生 俊成氏

 本連載の第1回(突然のM&A、社員の予期せぬ流出を防ぐには)、第2回(「らしさ」への無配慮が統合の効果そぐ)では、M&Aが社員感情に与える影響について、「被買収企業」の社員の意識調査結果をご紹介した。調査結果からは、「被買収企業」で働く個人にとっては、M&Aは決して歓迎するような出来事ではないということが明確に浮き彫りとなった。

 前回の第3回(M&Aに必要な「感情と言葉のセンス」)は、M&Aにおける「人」の統合を「感情」の側面から考察し、「感情や言葉のセンス」がM&Aの成否に与える影響の大きいさについて述べた。

 本稿では、M&Aにおける「人」の統合を「仕組み・制度」の側面から考察する。「人事制度の統合」についての考察である。

人事制度は統合する必要があるのか

 M&Aにおいて「人事制度の統合」が論点となるのは、「合併」の場合である。合併の場合には「人事制度は統合すべき」と捉えられることが一般的である。そして、人事制度の統合が困難(デメリットが多い)なことを理由に、合併ではない形態(子会社化、持ち株会社傘下での組織再編など)を選択する場合もある。

 ところで、合併したら、人事制度は必ず統合しなければならないのであろうか。

 法的には「1社に人事制度は1つでなければならない」という定めはない。現に、職種別の人事制度を有している企業もある。企業年金制度についてのみ、関連法で「合併後、1年以内の制度統合」が定められているが、「人事制度全体を統合しなければならない」という定めはない。

 しかし、「1社で2つの人事制度(以下:1社2制度)」を運用し続けるのは、現実的な困難を伴う。例えば、合併後に同じ職場で働いているにも関わらず、出身会社によって就業時間や休日が異なったら、業務が滞る場面が発生するかもしれない。上司も労務管理を行いにくくなるだろう。

 このように、職場の業務運営に直接的な影響を与えるような労働条件については、職場内で統合しておかなければ「困る」だろう。それでも、職場が異なり、職場間の異動もなければ、現実的に「困る」場面は少ないかもしれない。就業規則は事業所ごとに定め、届けることが原則であるから、合併前の2社の事業所を統合せず、事業所間の異動も行わないのなら、1社2制度であっても困ることはないかもしれない。

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