日本経済新聞 関連サイト

古川修の次世代自動車技術展望

記事一覧

自動運転技術開発の本当の意義と価値とは?

芝浦工業大学 特任教授 古川 修 氏

 第1回「自動運転への過大な期待が事故を呼ぶ」では、自動運転技術への過大な期待が事故へつながることを論じ、第2回「自動運転のありがたみへの疑問」では、自動運転の実用化に伴う価値を整理し、自動運転の価値を高く求めるには相当難易度の高い技術開発が必要であることに言及した。

 では、自動運転技術の研究開発を減速すべきなのかと言えば、そうではない。今回は、あまり表では議論されていない、完全自動運転に向けた産学官連携オールジャパン体制プロジェクトの本当の意義と価値について提言したい。

自動運転技術は1939年ニューヨーク万博で世界初登場

 まず自動運転技術についての研究開発がどのような動機で行われ、どのような進化を遂げてきたのかを概観してみたい。その歴史を踏まえて、完全自動運転の実現を目指す技術開発の意味合いを再度考察してみることにする。

 自動車の自動運転のコンセプトを世界で最初に提言したのは、米ゼネラル・モーターズ(GM)である。GMは1939年に米国ニューヨークで開催された万国博覧会でFuturama(FutureとPanoramaを組み合わせた造語)というブースを設け、電波を利用して一定の車間距離を維持しながらレーンを外れずに自動車が高速で自動走行するAutomated Highwayをジオラマ展示した。

 これは、現在まさに開発が進められている高度交通システム(ITS:Intelligent Transport System)そのもの。未来交通社会を正確に達観したコンセプトデザインには感銘を覚える。

 ただし、実際に自動車が自動運転で走行できたのは1960年代のことであり、道路インフラの助けを借りてのことである。道路上に誘導ケーブルを設置して、それに沿った自動走行実験が日本(当時の機械試験所、その後、機械技術研究所となり、現在は産業技術総合研究所)、米国(オハイオ州立大学)、英国(TRL:交通研究所)で個別に行われた。

PICKUP[PR]