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「攻めのガバナンス」実現への道

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「企業統治」ブームは終焉するか?

エゴンゼンダー代表取締役社長 佃 秀昭氏

 2015年6月に導入された「コーポレート・ガバナンス・コード」は、日本企業に「攻めのガバナンス」を促す内容だ。本連載では、日本企業が、いかに監督機能を強化し、中長期的な企業価値を向上していくべきかを論じる。今回は2017年における日本企業の企業統治改革を展望する。

2016年の企業統治改革を振り返る

 1年ぶりの寄稿である。私事で恐縮だが、がんを罹患し手術と治療で休載を余儀なくされた。前回は企業統治改革について2016年を展望した。ちょうど丸1年のブランクを経て、今回は2016年を振り返り、2017年を展望する。

 地政学的リスク分析を専門とするユーラシア・グループの年次展望リポートは、2017年に世界は「地政学的なリセッション」(Geopolitical Recession)」に入ると予測し、「独立した米国」を10大リスクのトップに挙げた。第2位は「中国の過剰な反応」である。

 世界経済の展望としては、米国の好景気、ドル高、金利上昇が予想され、金融政策から財政政策への転換が予想される。一方で、新興国や欧州の経済成長は高くはないと予想される。10大リスクでは「中央銀行の政治化」も予想されており、従来以上に政治が経済活動に介入してくる懸念がある。

 リーマン・ショック以上と言われたトランプ次期米国大統領の誕生は、大方の予想を裏切り、現時点では株式市場に好感されている。当面はポジティブだが中期的にはリスク顕在化の懸念ありとの予測もある。その懸念が現実化するかは不明である。

 政治と経済の展望に共通するのは、楽観主義と悲観主義の混在だ。また「グローバリズムからナショナリズム」「グレートローテーション」など非連続や大転換も指摘されている。2017年は、政府も企業も個人も、将来予測がますます困難な年になるだろう。

 では、2017年に日本企業は企業統治改革をどう進展させるべきであろうか。まずは2016年を振り返り、現時点での日本企業の企業統治上の課題を論じたい。前回の要旨を以下に引用する。

カリスマ経営者として知られた鈴木敏文氏の退任は議論を呼んだ カリスマ経営者として知られた鈴木敏文氏の退任は議論を呼んだ

 "日本企業が「形式から実質の充実へ」を確かなものとする上で3つの注目点があると考える。第1は社長後継計画の始動。第2は取締役会評価の普及。そして第3が独立社外取締役の増加だ。"(社長後継計画こそ企業統治の一丁目一番地

 2016年の展望として注目点を3つ挙げたが、おおむね的を射ていたと思う。第1の「社長後継計画の始動」に関しては、まさに時宜を得たかのように「セブン&アイ騒動」が世間の注目を集めた。鈴木敏文会長(当時)による子会社社長の人事案が、社外取締役が主導権を握る形で否決された。その結果、鈴木会長が退任する事態になった。

 企業統治の観点で画期的な出来事と評価する意見がある一方、「好ましからざる事例」と批判する企業経営者もいる。カリスマ・サラリーマン経営者と言われた鈴木氏による、長年にわたる後継者計画なき人事が混乱を招いたわけで、企業統治における「社長後継計画」の重要性を、反面教師的に示唆する事例であった。

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