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泉田良輔の「新・日本産業鳥瞰図」

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任天堂のジレンマ、迫られる針路選択

GFリサーチ 泉田良輔氏

 最近の任天堂は業績が低迷し、「任天堂らしい利益」を実現できていなかった。そんな同社にとって、世界中で大ヒットしたスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」は業績回復のきっかけを見出したようにも見える。これに続くスマホ向けゲーム「スーパーマリオ ラン」(12月15日に配信開始)も販売動向次第では大きな収益を同社にもたらし得る商品として注目されている。

 スマホ向けゲームが好調な半面、任天堂の強みだった「自社のゲーム専用機を普及させ、そこで遊べるゲームソフトで稼ぐ」というハード・ソフト一体の事業モデルが揺らいでいる。そもそも同社のゲーム専用機(特に据え置き型)が以前のようには売れなくなってきているからだ。ゲーム機メーカーとして今後もこの事業モデルを継続していくのか、それとも従来の強みを捨て、アプリ開発会社の1つとしてスマホ向けゲームに軸足を移していくのか。同社は今、ジレンマに陥っているようにみえる。

 今回は、任天堂の過去の業績を振り返りつつ、同社が抱える課題について考えていきたい。

12年で売上高26倍の快挙

 次のグラフは、任天堂の1980年度から2015年度までの売上高、営業利益、株主資本の推移を追ったものである。

 ここからわかることは2つ。まず、極めて当然だが、ヒットしたゲーム機によって売上高や営業利益規模が大きく変動しているということ。もう1つは、一時期(2011年度から13年度)を除いて営業損失はなく、株主資本をおおむね継続的に拡大させてきたことである。ゲームという非常にボラティリティーの高い事業を運営していながら、長期にわたって赤字が少ないことは珍しい。

<b>任天堂の売上高、営業利益、株主資本の推移</b> 出所:SPEEDAをもとにGFリサーチ作成 任天堂の売上高、営業利益、株主資本の推移 出所:SPEEDAをもとにGFリサーチ作成

 任天堂がこれまでに発売してきたゲーム機とともに業績を駆け足で見ていこう。

 1980年から92年までは、「魅力的なゲーム機を普及させ、それをプラットフォームとしてゲームソフトを販売する」という任天堂の強みの原型を築いた時期だった。

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