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「ありがとう」と言われる会社の心動かす物語

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郵便局は日本の名所? 外国人が感動した訳

パッションジャパン 三枝理枝子 氏

 現代のサービスは「モノ」売りから「コト」売りの時代を経て、「こころ」を通わせた体験や癒やしを提供することに変わってきています。では、サービスの良さで選ばれている企業は、選ばれるために組織的かつ戦略的に、実は何をしているのでしょうか。本連載では、お客様から心からの「ありがとう」が聞こえてくる、実際に本当にあったエピソードとともにお伝えします。

 今回は、日本在住アメリカ人の目から見た郵便局(日本郵便)の話です。ちょっとおせっかいだけど、なんだかとても温かい日本を感じるのだとか。海外から友人が来れば、いつも「日本の名所」として郵便局に連れていっているそうです。

ワンダフルポスト

 私は日本在住アメリカ人、日本人の男性と結婚して10年になります。そんな私ですが、実は郵便局が大好きです。その理由は二つあります。

 一つ目、郵便局に行くと、いつも日本の四季を肌で感じられます。例えば夏、郵便局に入ると、鉢植えの朝顔が私を出迎えてくれます。涼しげな風鈴の音、スイカ、かき氷やうちわの絵が貼ってあります。まさに夏の風物詩。

 二つ目、ここが一番のポイントです。人の優しさ。洗練された雰囲気はないけれど、ちょっと首を左右に振っただけで「何かお探しですか」と声をかけてくれるのです。

 ここが、コンビニとはちょっと違うところです。

 この町に来た当時、よくここで道を尋ねました。そのたびにいつも丁寧に、「それはですね。この道をまっすぐに行って、二つ目の角を右に曲がり......」と、カウンターからわざわざ外に出てくれて、熱心に教えてくれました。

「配達していましたから。この町のことなら何でも聞いてくださいね」

 そうニコニコ顔で答えてくれました。

 先日、窓口に義理の母と一緒に定額貯金の満期の手続きに行ったときのことです。カウンター前に着くや否や、母のためにパイプ椅子を持ってきてくれました。つえを突いている母に、「どうぞお座りください。暑い中、ありがとうございます。ご足労いただきありがとうございます。お足は大丈夫ですか?」と、今日も優しい表情で話しかけてくれました。

「はい。大丈夫です」。母が応えました。

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