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AI時代の主役へ 躍進エヌビディア

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技術の本質を究め、顧客価値へと昇華

ドリームインキュベータ執行役員 石原英貴氏

 人工知能・自動運転・AR/VR(拡張現実/仮想現実)など、沸き立つ市場の真ん中で、エヌビディアがその中核ポジションに位置しつつあることを前回までの連載でお伝えした(第1回「画像処理の強み、AIブームで開花」、第2回「技術の潮流見抜き、エコシステム確立」)。最終回の今回は、エヌビディアの成功ストーリーをもとに、私たち日本企業にとってのこれからのヒントについて考察してみたい。

日本版「ゴールドラッシュのジーンズ」

 人工知能関連市場が拡大すれば、エヌビディア製GPU(画像処理半導体)が自ずと選ばれる。同じく、自動運転関連市場が拡大すれば、やはりエヌビディア製GPUが選ばれるという立ち位置。エヌビディアは、「ゴールドラッシュのジーンズ」とも言うべき、実に"おいしい"ポジションを確立しつつある。しかし、他の産業に目を向ければ、同様の立ち位置にある企業/製品は、日本にも案外たくさん存在する。

 例えば、ソニーのCCD/CMOS(電荷結合素子/相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサー。「電子の眼」ともいうべき半導体デバイスは、カメラや画像センサーなどのデジタル撮像アプリケーションが拡大するほどに必要性が増す。特にスマホに代表される小型・高性能機器での重要性は高く、例えば、Apple社のiPhone向けだけとっても、iPhoneが1台売れるごとに数千円を稼ぎ出す、なくてはならない超高付加価値製品となっている。

 また、東レの炭素繊維も同様だ。鉄の4分の1の軽さにして、10倍の強度を持つ夢の素材。すでに航空機向けでは兆円規模を稼ぎ出す同社の主力製品に育った。今後、環境・エネルギー問題が一層深刻化するにしたがい、航空機はもちろん、自動車などの移動体で利用せざるを得ない素材となるはずだ。

 これから勃興する産業まで拡げれば、富士フイルムの再生医療も可能性は極めて大きい。富士フイルムは言わずと知れた材料技術の企業だが、薄膜などの材料をナノレベルで制御する技術が再生医療の細胞加工に大きく貢献すると言われている。2015年4月に約370億円で買収した米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)社のiPS細胞技術と富士フイルムの細胞加工技術が組み合わされれば、将来、医薬・治療用に細胞を必要とする企業から必ず声を掛けられる存在になることが期待されている。

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