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古川修の次世代自動車技術展望

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自動運転への過大な期待が事故を呼ぶ

芝浦工業大学 特任教授 古川 修 氏

 ごく近い将来、クルマの自動運転が実現し、交通事故ゼロの輝かしい未来がやってくる......。メディアは連日、国内外の自動車メーカーやIT企業などが自動運転の実用化を目指して、技術開発に取り組んでいることを報道している。また、経済マーケットの専門家たちは、自動運転技術によってビジネスが広がり膨大な経済効果が期待されると論評。自動化に加えて電動化の潮流も含め、これからの自動車産業は自動車メーカーから離れてIT企業が主体となり、世界規模での再編成が始まるとの予測を立てるなど、話題は尽きない。

 とはいえ、話題先行のきらいがあるのも事実。額面通りに「輝かしい未来がやってくる」と思うのは早計だ。自動車技術開発の最前線では何が起こり、社会や経済にどんな影響を及ぼしているのか、正確に理解する必要がある。連載第1回目の今回は、自動運転技術の開発と実用化状況について概観する 。

軽井沢のG7交通大臣会合で自動運転試乗会が成功

 日本と欧州の自動車メーカーは、これまで実用化してきた先進運転支援システム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)の技術の延長として自動運転システムをとらえていて、その実用化へ向けた技術開発と社会実証のための実験計画を進めている。

 国内の国家プロジェクトとしては、2014年度から内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の中に「自動走行システム推進委員会」を設置して、産学官連携で自動運転システムの実用化へ向けた開発と社会制度について議論している。推進委員会は、内閣府が主導して国土交通省、警察庁、経済産業省、総務省が連携、そこに産業界と学識経験者が参加しており、2020年をメドに自動走行システムの市場化、2025年をメドに完全自動走行システムの市場化を目標に掲げている。

 このオールジャパン体制によって、2016年9月24日に長野県軽井沢町で開催された主要7カ国(G7)交通大臣会合で、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの自動運転車に米英独の3カ国の交通大臣が木立の中を約300メートル試乗するというイベントが成功した。

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