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クラフトビールでヒット連発、その「愛される仕掛け」とは?

熱狂顧客を育んだヤッホーブルーイングの快進撃

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 ヤッホーの顧客の大半は、最初は「よなよなエール」や「水曜日のネコ」などの個別商品ブランドのファンから始まる。そして、次第に「ヤッホーファン」になる。商品ブランドから入り、企業ブランドのファンに成長するのである。熱狂と推奨ループの全体像は以下のようになる。

<b>熱狂ピラミッドのループ</b> 熱狂ピラミッドのループ


①「熱狂の入り口」に立つ商品のファンと「熱狂の壁」

 まず「個性的な味」という、よなよなエールの基本価値や期待価値に満足した顧客は商品のファンとなり、図の①の「熱狂の入り口」に立つ。だが、一般顧客と熱狂顧客の間には「熱狂の壁」があり、この壁を越えない限り「特段不満がない」「まあまあ好き」で終わってしまう。

 この熱狂の壁を越えてもらうための施策としてヤッホーが実施しているのは、オンラインとオフラインを縦横無尽に行き来する「イベント」だ。

 「なんだ、イベントか」と思うなかれ。

 ヤッホーが実施しているイベントは、社内で「顧客を熱狂させる必殺技」とも言われ、「ヤッホー社員の密着プレーによる徹底的なブランド体験の場」なのである。

 現場では、日々驚くほど多くの社員参加型マイクロイベントが行われている。いくつか紹介すると、例えばFacebook連携型「よなよなエール」3万缶写真投稿イベントや、「大人の醸造所見学ツアー」などは大変にぎわっている。そして、缶にカエルのキャラクターが描かれている新商品「僕ビール、君ビール。」のキャンペーンとして、ローソンでしか買えないという制約を逆手にとって実施した「カエル捕獲大作戦」では、45都道府県の顧客から「ローソン◯◯店で捕獲に成功しました!」などの声が写真付きでTwitterなどに投稿され、初回製造分は即完売するに至った。

 購買に直結するキャンペーンを、大企業顔負けのスルー・ザ・ライン(※)で実施し、成功させてしまうことにも驚くが、特筆すべきは、このようなキャンペーンやイベントに参加した顧客から「飲み会イベントでビールの奥深さにハマりました!」「ビールの仕込み体験でスタッフ(社員)になった気分になりました!」「醸造所見学のときのスタッフさんの対応に感激してヤッホーの中途採用に応募しました!」など、顧客の熱狂に火をつけていることだ。

(※)Through the Line、広告宣伝と販売促進を統合したコミュニケーション/マーケティング施策

 これらの施策によって、ヤッホーは「商品の消費」から「文脈の消費」へのシフトを成功させ、多くの顧客が「熱狂の壁」を越えていった。

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