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クラフトビールでヒット連発、その「愛される仕掛け」とは?

熱狂顧客を育んだヤッホーブルーイングの快進撃

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 メルマガを通して学んだことは、ビールの「うんちく」「醸造設備」などの話には反応が良かったものの、「ポイント2倍キャンペーン実施中!」「秋は『よなよなエール』と旬のお野菜で」といった内容には反応が薄かったことだ。

 この経験から井手社長は、「こんな(キャンペーンを訴求するような)、いかにもネットショップ!って感じのメールなんて毎日何十通も届いているはず」「他社がやっていることをまねしたってダメ」「誰でも書けることを書いたって誰も喜んでくれない」「自分が書きたいこと、自分にしか書けないことを、心をこめて書こう!」と、自身のポリシーを固めていった。

 すると、徐々に「てんちょがオススメする◯◯ビール買ったよ!」というファンが増えていったのである。

 井手社長は「流行っているレストランの料理はうまい。でも、うまい料理を出すレストランがすべて流行るわけではない」と話す。これはつまり、ビールが「おいしいこと」は「売れる」ための必要条件でしかなく、十分条件ではなくなったことを示唆している。

 顧客はモノではなく、コト(エクスペリエンス)を買っている。使用価値としての商品を買っているのではなく、文脈価値を買っているのだ。

 「おいしいビールが飲める」は使用価値であり、「友だちとキャンプで『よなよなエール』を飲むと、楽しくて幸せな気分になれる」は文脈価値だ。世にあまたある「おいしいビール」が苦戦する中、ヤッホーが快進撃を続けられる理由は、「使用価値だけでなく、文脈価値で勝負し、勝利を収めているから」だろう。

 ヤッホーは、この文脈価値において「予想外価値」(下図参照)を提供することで顧客を熱狂させ、共感・愛着・信頼を勝ち取っている。ヤッホーにおける予想外価値とは、一言でいえば「楽しくて幸せな気分になれる」だろう。

<b>顧客ロイヤルティーの段階</b><br>出所:遠藤直紀、武井由紀子著『売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門』 顧客ロイヤルティーの段階
出所:遠藤直紀、武井由紀子著『売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門』

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