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AI時代の主役へ 躍進エヌビディア

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画像処理の強み、AIブームで開花

ドリームインキュベータ 執行役員 石原英貴氏

 新たな技術の勃興により、私たちの世界が大きく様変わりしようとしている。

 今年3月、AI(人工知能)が囲碁のプロ棋士に勝利し、ディープ・ラーニング(深層学習)の破壊力を世間に知らしめたニュースは記憶に新しい。7月にリリースされ、社会現象にもなった「ポケモンGO」は、ゲーム史上最速で500億円の売り上げを達成し、これから広がるであろうAR(拡張現実)/VR(仮想現実)市場のポテンシャルの大きさを垣間見せた。また、人工知能を活用した自動運転も、関連する報道を目にしない日はないほどの盛り上がりを見せている。

 こうした技術革新の裏側で、今、じわじわと存在感を増し、将来、主役の座に踊り出そうな勢いの企業があることをご存知だろうか。アメリカ西海岸に本社を構える半導体メーカー、エヌビディア(NVIDIA)である。1993年創業のエヌビディアは、もともと半導体業界の中でも、ゲームやパソコンの3D画像を高精細に映し出すためのチップを作る、後発の新興プレーヤーであった。それが今や、沸き立つ市場で必須のテクノロジーを提供する中心プレーヤーとして台頭してきた。

 創業来23年の間に何が起きたのか?エヌビディアの成長の軌跡を辿っていくと、その成功の背後には、かつて日本の製造業が繁栄した歴史と重なる要素が数多く見られる。本連載では、エヌビディアの成功ストーリーから、我々の先人たちが成し遂げたイノベーションとの共通点を見出しつつ、これからへのヒントを3回のシリーズにわたって探っていきたい。

大量データの超高速処理に強み

 人工知能、AR/VR、自動運転。これらに共通するのは、すべて大量の情報を超高速で瞬時に処理することが求められる点である。人工知能では、大量のデータをいかに効率よく学習させるかが鍵となり、AR/VRでは、高画質の映像を遅延なく表示することで、ユーザー体験の質を損なわせないことが求められる。また、自動運転においては、車の周囲の状況をカメラやセンサーでリアルタイムに認識したうえで、とるべきアクションを瞬時に計算しなくてはならない。

 これらのアプリケーションで必要とされる必須テクノロジーこそ、エヌビディアが圧倒的なポジションを握るGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)と呼ばれるデバイスである。まずは株価の推移から、エヌビディアに対する成長期待の大きさをご覧いただきたい。

出所:S&P Capital IQ 出所:S&P Capital IQ

 パソコン市場で覇権を握って以来、今なお半導体(CPU=セントラル・プロセッシング・ユニット)のリーディング・カンパニーとして君臨し続けるインテル。スマホ市場の爆発的な成長をとらえ、モバイル向け半導体で一気に主役の座に躍り出たクアルコム。長らくインテルのセカンドソースとしてCPUを提供し、GPUでは、黎明期からエヌビディアのライバルとして戦いを繰り広げてきたAMD。

 売上高こそ、エヌビディアは巨人インテルの11分の1、クアルコムの5分の1とまだまだ足元に及ばないものの、企業価値の指標である時価総額では、それぞれ5分の1、2.7分の1とその差は大きく縮まる。売上高が同レベルのAMDとの比較では、逆に時価総額で6倍もの開きが生じている(スライド左)。直近5年間の株価成長率で見るとその差は歴然だ(スライド右)。

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