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そのコンサル、財務的成果を出せる人物か

長谷部智也 氏

 コンサルタントとしての16年の経験と、現在、事業会社でコンサルタントを実際に起用する側の経験、その両方を通じて実感するのは、腕が確かな「本物」のコンサルタントを賢く起用すれば、財務的な成果を出す上で大きな助けになるということである。

 しかし、現在のコンサルティング業界は「大衆化」が進み、かつてないくらいにコンサルタント個々人の能力、スキルの「個体差」が大きい時代になっている。しっかり財務的成果を出せるコンサルタントかどうかを見抜くために、起用前にこんな質問をしてみてほしい。

 そのコンサルタントは、3つや5つの具体的なアクションを即答できるだろうか。

面白いプレゼンテーションには要注意

 コンサルタントは、プロジェクトの提案コンペやプロジェクト期間中の報告会などプレゼンテーションをする機会に、気合いを入れて臨む。これは言うまでもない。形には残らない「提言」という価値を提供する上で、綺麗に整理されたパワーポイントスライドと、生々しくストーリーを語るプレゼンテーションは、クライアントに印象を残す上で極めて重要なイベントである。

 コンサルタントはプレゼンテーションを自身の「作品発表会」のように捉え、綿密に下準備をして臨む。人前で何か発表することが、純粋に好きな人が多かったりもする。

 プレゼンテーションが分かりやすいのは、起用する側としても良いことである。しかしながら、ストーリーが面白いプレゼンテーションには、注意が必要である。コンサルタントがクライアントを面白がらせること、強いインパクトを与えること自体が目的化してしまっている場合もあるからである。

 コンサルティング会社の社内では、「今日のプレゼンテーションはクライアントに刺さった」「クライアントが目からうろこだった」「クライアントの目玉を落とした」というような価値観で、インパクト至上主義でプレゼンテーションに「命を懸けている」コンサルティング会社もある。

 しかしながら、起用する側から見れば、面白いとか面白くないとかいうのは会議のその場限りの話であって、大事なのは、今後自社が取るべき、本当に財務的成果につながるアクションが、納得感のあるかたちでしっかりと提言されているかどうかである。

財務的成果は愚直な施策から出る

 実際に財務的成果が出る提言は、愚直な施策の積み上げでしかないことが多い。一般的に、愚直な提言ほど財務的成果が出る。「それくらいのことは我が社はできている」と思いがちなことが実際の組織ではできていない。それを徹底してやり切れるような仕組みを導入するから、財務的成果が出るのである。

 一方で、あまりに当たり前のことを提言すると、クライアントから「そんなことはすでに知っている、当たり前の話。面白くもなんともない、新しくない、クリエイティブじゃない。そんなことを言われるために、わざわざ高い金を払っているのではない」とクレームをつけられるリスクがある。コンサルタントはこれを最も恐れる。だからこそ、その場を面白くし、インパクトのあるプレゼンテーションをしようといろいろ考えるのである。

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