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米ではなぜ「社会価値観」の違いが論争になるか

冷泉 彰彦氏

 異なった価値観を持った、民主党と共和党の対立を抜き差しならないものにしているのが、いわゆる「社会価値観」論争だ。共和党の掲げる保守主義の中でも「ソーシャル・コンサーバティズム」に当たるこの問題は、逆に民主党側でもリベラルな価値観として確立されており、正にアメリカのカルチャーを真っ二つに切り裂いている。

国論を二分する社会価値観論争の意味

 経済や外交といった日々の具体的な政策では妥協点をさぐる姿勢を見せるアメリカ政治であるが、この問題での民主党と共和党には互いに一歩も譲らないという姿勢が感じられる。また大統領選挙の際には、各候補はこうした「社会価値観」について自分の立場を鮮明にすることが求められるし、選挙そのものの争点になることも多い。

 この「社会価値観」というのは、幅広く考えれば家族観や宗教観、あるいは治安維持といった問題に一般化できる。だが、本書では特にアメリカ政治において厳しい対立を生んでいる次の3つの点に絞って対立軸の中身を分析してみたい。その3点とは、

「生命倫理」
「同性愛者間の結婚」
「銃規制」

である。こうした問題が国論を二分するというようなことは、アメリカ以外では考えにくい。

 逆に、この3つの論争に、ある種アメリカの価値観論争に見られるユニークな点が凝縮されていると言っても過言ではないだろう。

 ちなみに、大統領選挙においてどうしてこうした問題が大きな論争となるのかというと、それは大統領に特別な政令を発布する権限があったり、議会が可決した法案を拒否したりする権限があるためだけではない。実際の立法権に関しては、何と言っても議会が強大な権限を握っており、いかに大統領といえどもこれを無視して拒否権を何度も行使したり、大統領令で市民の生活を規制したりすることはできない。

 問題は連邦最高裁判事の人選ということに集約される。社会価値観論争が具体的な事案として争われた場合に、最終的に社会としての結論が下されるのは連邦最高裁であり、その権威によって個別の法律が合憲であるか違憲であるかの判断がされるのである。最高裁判事の任期は終身であるが、誰かが辞任したり、任期中に死去した場合はすみやかに後任を決定しなくてはならない。その決定には議会の承認が必要なのだが、候補の指名権は大統領が握っている。

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