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過剰な「自己肯定」の民主、「懐疑」の共和

冷泉 彰彦氏

 民主党と共和党は、個々の政策に関しても、カルチャーにしても、社会価値観にしても、それぞれに異なった背景を持っている、比喩的に言えば異なった「DNA」を持っていると言って構わないだろう。そのDNAというのは、実際の生物と同じように細かな「遺伝子」の組み合わせによってできている。その遺伝子は時に交換されたり、時に突然変異を起こしたりした経緯もある。

 だが、そうした変化も含めて伝承されてきたことで、両党の価値観は、2000年代から2010年代には政策論争として激しく衝突していくことになる。

民主党、過剰なまでの自己肯定

 まず民主党だが、ヨーロッパやアジアといった「旧世界」に見られる「反対党」、つまり「君主制や支配層に対抗する労働者の党」とどこが同じで、どこが違うのだろうか。結論から言えば、同じであるようで、全く違う。

 確かにアメリカの民主党の支持母体の中では、大規模な産業別組合が今でも重要な位置を占めている。特に公務員組合や教職員組合はその牙城だと言っていい。また、その政策もケインズ理論を基礎とした「大きな政府論」であり、FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)によるニューディール政策にしても、ジョンソンの「偉大なる社会」論、そしてリーマン・ショック後にオバマが採用した「景気刺激策」にしても、そうした政府の介入による景気浮揚策、あるいは国の主導による福祉国家への志向という意味では、典型的な政策だ。政策だけ見れば、特に国内政策だけに注目して見れば、民主党というのは修正資本主義(古い言葉だが)であるとか、社会民主主義と言ってもおかしくないだろう。

 また、民主党は人権志向の党である。黒人の人権、女性の人権、移民の人権、さらには信教の自由からプライバシーの権利に至るまで、また消費者の権利保護や、医療過誤訴訟における患者の権利まで、民主党は個人の人権を重視するということでは、世界で最も熱心な政党だと言って構わない。

 ところが、民主党はいわゆる「反対党」ではない。

 もちろん、共和党が政権の座にある時は民主党は野党である。だが、アメリカの民主党は万年野党ではない。政権担当能力を常に維持しており、仮に野党である場合にも、いわゆる反対のための反対が惰性となるようなことはない。そしてひとたび政権を担当すると、実際にその社会民主主義的政策や人権擁護政策を実行に移すのである。この点に関しては、英国の労働党に似ている。だが、英国労働党とは決定的に異なる点がある。

 それはアメリカの民主党が徹底した「愛国の党」だということだ。英国労働党や「旧世界」の多くの国の反対党には、自分たちは「国家権力に対して対抗する党」という意識がある。それはある時は、王政への抵抗になり、王政の周囲にいる王党派への反対となり、時には国家に対抗するための国際的な連帯を模索したりもする。

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