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「カビ型行為」対策の切り札、"問題発掘型アンケート調査"

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

"問題発掘型アンケート調査"の活用の有効性

 企業内の「カビ型」の問題行為にかかわっている社員が、それが「不正行為」「コンプライアンス違反」に当たると分かっていても、内部通報窓口に申告しようとしない原因は、自らもかかわっている不正が表面化すれば、職場の上司・同僚だけでなく自分も影響を受けるからである。それを個人の意思で敢えて行動に移す社員はほとんどいない。

 しかし、「コンプライアンス上問題がある行為」にかかわらざるを得ない社員にとって、自分からアクションを起こすことはできなくても、何らかの機会が与えられれば、「不正」の事実に関する情報を会社に提供することによって状況を改善したいと考えることはあり得る。多数の社員が関与している問題、認識している問題が存在している場合、そういった「機会」が全社員に同時に与えられることで、「こういう問題があることを、この際、会社に知ってもらいたい」「そう思うのは、自分だけではないはず」と考える社員も相当数出てくることが期待できるのである。

 そこで、問題行為にかかわっている社員から自発的な情報提供を引き出す方法として有効なのが、"問題発掘型アンケート調査"である。

 多くの大企業において、全社員を対象とするアンケートによる意識調査が行われているが、一般的には、企業内の各部門別、階層別の意識・認識を全体的に把握し、人事労務上の施策や研修教育などに活用することが目的であり、具体的な問題の把握に結びつけようとするものではない。自由記述欄が設けられていても、部署・役職・社歴といったアンケート回答者の属性情報を細かく記載させるため、回答者が特定される可能性があり、抽象的、一般的な記述が多く、具体的な問題行為の指摘はほとんどない。

 "問題発掘型アンケート調査"は、そのような従来の意識調査とは異なる、企業の組織内で具体的に発生している問題などを把握し、必要な対策を講じることを目的とする全社員を対象とするアンケート調査である。それは、企業内で潜在化している「カビ型」の問題行為の把握に関しても、極めて有効な手段となる。

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